2020年12月22日更新
M&Aとは?意味、メリット、成功手法・流れを解説!【事例10選あり】

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。
M&Aとは合併と買収を意味する行為であり、さまざまな経営問題を解決する手段として活用されています。最近では、事業承継を実現するために活用されるケースも増加しており、メリットの多い手法です。今回は、M&Aの意味・メリット・成功手法・流れをわかりやすく解説します。
目次
1. M&Aとは
M&Aとは、合併と買収を意味する行為です。もともと外国企業を中心に経営戦略のひとつとして活用されていましたが、近年では日本国内の企業も積極的にM&Aを活用しています。
M&Aには多くのメリットが存在しており、これまでにM&Aを実施したことでその後の運営を成功させた企業は少なくありません。この記事では、まずM&Aの定義や意味・M&A用語の読み方などをわかりやすく解説します。
その後に、M&Aの理解を深めるために、M&Aのメリット・成功手法・流れ・事例などについてもわかりやすく解説していきますので、順を追って把握していきましょう。
M&Aの意味
ここでは、M&A(エムアンドエー)の名前の由来を解説します。M&Aとは、正式名称ではMergers and Acquisitionsと呼ぶ行為です。M&Aを日本語表記では、「マージャーズ・アンド・アクイジションズ」となります。
それぞれ、Mergersは合併・Acquisitionsは買収という意味の英単語です。つまり、M&Aとは、この2つの単語の頭文字を取った用語となります。
合併(Mergers)
M&Aにおける合併(Mergers)とは、2つ以上の企業をひとつの企業に統合するスキームのことです。
合併により2つ以上の企業はひとつの法人格となりますが、ここでは資産や負債などもすべて引き継がれます。
合併には、吸収合併と新設合併の2種類があります。いずれのスキームでも資産や負債を引き継ぐ点は同じですが、許認可や免許の承継については、以下のような相違点があるため注意が必要です。
- 新設合併 → 存続する会社に消滅する会社の許認可や免許の承継はできない
- 吸収合併 → 存続する会社に消滅する会社の許認可や免許も承継できる
また、新設合併前の企業が上場している場合、新設合併を行うと上場廃止になるため、改めて上場手続きを行わなければなりません。これに対して、吸収合併の場合では、上場がそのまま維持されます。
買収(Acquisitions)
M&Aにおける買収(Acquisitions)とは、具体的にいうと、ひとつの株式会社の経営権を買い取ったり、株式会社の一部の事業を買い取ったりするスキームです。
M&Aにおける買収の主なスキームには株式譲渡・事業譲渡・株式交換(株式移転)の3種類があり、それぞれ以下のような特徴があります。
- 株式譲渡 → 売り手が株式を売却し買い手は対価として現金を支払う。経営権を掌握するには、全株式のうち3分の2以上の取得が必要
- 事業譲渡 → 売り手企業が持つ事業のすべてまたは一部を買収する
- 株式交換・移転 → 譲渡側の全株式を他社に譲渡して、譲受側は対価を株式で支払う
なお、株式交換と株式移転では、株式を交付する対象に相違点があります。株式交換は既存の株式会社に株式を譲渡するスキームであるのに対して、株式移転は新設した株式会社に移転させるスキームです。
M&Aの目的
M&Aは企業にとって重要な経営戦略のひとつとなりますが、M&Aが行われる目的については企業ごとに多種多様です。
企業がM&Aを行う目的としては、大まかに挙げると3つあります。1つ目の目的は、相手先企業が持つ資金・人材・ノウハウなどの吸収です。
M&Aで自社の中核事業を強化したり弱みを補填したりできれば、新たな市場への進出や事業の立ち上げなどが可能となります。
2つ目の目的は、後継者問題の解決です。近年は、後継者問題や業績不振などを理由に、会社や会社の一部事業を売却するためにM&Aを用いるケースも増加しています。
3つ目の目的は、事業の拡大です。企業のさらなる成長を求める場合には、たとえ業績が好調であっても大手企業の傘下に入って事業拡大を目指すという事例が少なくありません。
2. M&Aの市場動向
日本においてM&Aが注目を浴びるきっかけとなった事例として、1989年の「ソニーによるコロンビアピクチャー買収」や「三菱地所によるロックフェラーセンター買収」などが挙げられます。これらの事例を機に、日本でもM&Aが注目されるようになりました。
上記の事例以降、1997年の独占禁止法改正や1999年の株式交換・株式移転制度導入などM&A関連の法改正が進んだことで、M&Aの実施件数は年々増加しました。そして2006年の会社法施行や2007年の三角合併解禁などの後押しもあって、日本におけるM&A実施件数がピークを迎えます。
ところが、リーマンショック以降、日本のM&A市場は一時的に落ち込みました。2011年の東日本大震災の影響もあり、M&A件数は会社法施行前の水準まで減少しましたが、2011年以降は増加傾向に転じています。
M&A件数が増加する背景には、譲渡側・譲受側企業の双方でM&Aを実施する要因がある点だけでなく、日本の景気が堅調に推移している点、堅実に経営してきた企業の財務状態が安定してきた点なども関係しているのです。
日本全国で深刻な影響を与えている少子高齢化問題は、すべての産業で将来的な不安を生み出し続けています。深刻な状況を打破するためにも、業績拡大を目指すべくM&Aを行う買い手企業が増加中です。景気が少しずつ回復基調を見せる中で深刻な人手不足も解決すべく、M&Aへの注目度は年々上がっています。
M&Aによる売却を希望する背景には、経営者の高齢化・事業承継問題などが深く関係しているのです。中堅・中小企業経営者の平均年齢は年々高くなっているにもかかわらず、後継者不在の企業が増えています。M&Aを活用すれば、後継者不在の問題を解決できる可能性が高いでしょう。
かつてのM&Aには、「企業が乗っ取られる・会社を売り払う」といった悪いイメージが付きまとっていました。その一方で近年では、経営上のさまざまな問題を解決すべく、M&Aが有効活用されています。
M&Aの歴史
最近ではビジネス市場で広く活用されていますが、M&Aがこれまで辿った歴史についても紹介します。
歴史を知ると現在および今後のM&A動向を理解しやすくなるため、合わせて把握しておきましょう。
M&Aは戦前期の日本においてブームだった
戦前期の日本ではM&Aが積極的に行われており、財閥拡大や業界再編と深く結びついていました。
1880年頃から政府は財閥に官業を安く払い下げ、事業を譲渡された三井や三菱などの財閥が拡大して手厚い保護体制のもとで事業買収を推し進めたことで、さまざまな産業を傘下に置いていきます。
明治時代から昭和初期には戦争(特需)・国際貿易発展などの影響により日本産業への需要が高まり、財閥が巨大な力と富を得ていきました。
当時は、財閥による敵対的買収も含めて、M&Aが国内でブームとなっています。特に明治時代の後期以降は紡績事業の再編・合従連衡が唱えられたことで、基幹産業再生のためにM&Aが数多く実施されました。
M&Aによる業界再編が盛んに実施された
基幹作業である紡績業では、中国など新興国の出現により競争が激しくなったことで、再生目的を持つM&Aが実施されています。結果的に、日本全国で数百社以上存在した紡績会社は、6社程度まで収縮されました。
当時は、製糖業でもM&Aが積極的に行われています。M&Aが盛んになる以前は27社あった製糖会社が、1920年代前半には11社、1927年の金融恐慌時における業界再編後は9社程度まで絞られました。その後は戦争に応じた業界再編によって、近代の製糖業界において四大製糖と呼ばれた「大日本・明治・台湾・塩水港」の4社に落ちついています。
1920年代に入ると、競争が激化していた電力業界において、合従連衡が盛んに実施されました。M&Aが数多く実施されたことで、大手の5社にまとまったとされていますが、中でも鈴木商店はM&Aを積極的に活用して事業を拡大した企業の1社です。一時的ではありますが、三菱や三井を圧倒する勢いを持っていたとされています。
その後は金融恐慌によって破綻した鈴木商店の傘下企業が復活しており、現在におけるサッポロビール・J-オイルミルズ・双日・神戸製鉄所などは鈴木商店の流れを汲む会社です。
そのほか、日産コンツェルンも、日産自動車をメインに据えてM&Aを活用しました。日本産業の中核において、株式公開で資金調達を行いつつM&Aを進めています。子会社も積極的に株式公開を行っており、同様にM&Aを進めたのです。
1934年、日本製鐵は、八幡製鉄所を中心に三菱製鉄・釜石鉱山・輪西製鉄・九州製鋼・富士製鋼の計5社により鉄鋼メーカーとして合同設立されました。日本製鐵の設立時には、現物出資が活用されています。その後は大阪製鉄の資産・東洋製鉄の現物出資や資産などをM&Aで買収して事業拡大を推し進めました。
M&Aが急増している背景
ここでは、M&Aが急増している背景を売り手と買い手ごとに紹介します。
売却側
1つ目の要因として、経営者の高齢化が挙げられます。従来は親族への承継件数がほとんどであり、主として子供に会社を継がせる経営者が多くいました。その一方で現在では、自身に子供がいない経営者も多いでしょう。たとえ子供がいたとしても会社を継ぎたくないと考えるほか、経営者自身が子供に継がせたくないと考えるケースが増えています。
こうした状況を受けて、M&Aにより会社を譲渡する需要が高まっている状況です。
帝国データバンクの「全国・後継者不在企業動向調査」(2019年)によると、50歳代では70%以上・60歳代では約半数・80~90歳代では30%以上の経営者が後継者不在に悩んでいます。
社長年齢別 | 後継者あり | 後継者不在 |
30歳未満 | 8.1% | 91.9% |
30歳代 | 8.2% | 91.2% |
40歳代 | 14.2% | 85.8% |
50歳代 | 28.4% | 71.6% |
60歳代 | 50.5% | 49.5% |
70歳代 | 60.1% | 39.9% |
80歳代 | 68.2% | 31.8% |
帝国データバンクの「全国・後継者不在企業動向調査」(2019年)
そのほか、M&Aに対するイメージの向上も実施件数が増加した要因です。従来はM&Aというと、「会社が乗っ取られる・会社を売り払う」という悪いイメージが先行していました。現在におけるM&Aは、ひとつの経営手段であると広く認識されており、積極的に用いる企業が増えています。
M&Aによる売却で大手資本企業の傘下に入ると、自社株式の現金化・代表連帯保証の解除・従業員の雇用維持などが期待できるほか事業拡大も狙えるため、M&Aにはポジティブなイメージが浸透しつつある状況です。
買収側
買収側がM&Aを積極的に用いる要因のひとつに、法改正による後押しがあります。これまで法律・税務上で曖昧に判断されていた部分が法整備されたことで、M&Aを実施しやすい環境が整いました。
また、IT技術の発達により、スピーディーに環境が変化するようになったことも要因のひとつです。こうした状況下で、ゼロから新規事業を立ち上げるのではなく、M&Aにより他社のノウハウ・技術などの買収を狙う経営者が増えています。
さらに上場企業・未上場企業問わず実質無借金企業が増加しているため、金利がマイナス化している状況です。金融機関ではM&Aに必要な資金の貸出を積極的に行っているため、M&A実施に対するハードルが低くなったことも要因のひとつといえます。
これからのM&A市場
これまでM&Aは身売り・敵対的買収のリスクが強いといったイメージを抱かれていましたが、時代の流れにより徐々に見方が変わってきています。M&Aに対する経営者の見方を変えた要因のひとつとして挙げられるのが、後継者不在問題の深刻化です。
帝国データバンク『全国・後継者不在企業動向調査(2019年)』によると、調査対象となった中小企業の65.2%が「後継者不在」に陥っていると回答しました。また、社長の平均年齢および社長の引退平均年齢にあたる60代の約5割は、後継者候補が未定の状態です。
最近では後継者不在を解消して事業承継を行うべく、中小企業の経営者を中心にM&Aを活用する動きが目立っています。
ここからは、近い将来における日本のM&A市場について、以下のトピックに分けてまとめました。
- 生産年齢人口減少によるM&A増加
- 業界寡占化によるM&A増加
- ベンチャー企業によるM&A増加
それぞれのトピックを順番に見ていきます。
①生産年齢人口減少によるM&A増加
現在のM&A市場の規模が増大傾向にありますが、この背景には日本の少子高齢化がもたらした経営者の高齢化と後継者不足の問題が深く関係しています。
上記データのとおり、日本では生産年齢人口(15~64歳)が年々減少しています。これは、日本全体で深刻化している問題です。生産年齢人口の減少は、さまざまな業界で人手不足が生じる最大の要因と捉えられています。
特に中小企業における人材不足は経営難に直結する問題となりやすく、今後も引き続き第三者への事業承継件数が増加していく見込みです。
②業界寡占化によるM&A増加
そのほか、業界寡占化によるM&A増加も予想されています。多くの企業では効率的に成長を遂げるべく、競合企業との関係性を見直している状況です。いかなる業界においても企業数が多い場合には、再編が円滑に進まず苦戦します。
例えば、メガバンク・ビール製造・新聞社・コンビニ業界などは約4社の大手企業に集約されており、競合との関係性を安定させている状況です。いかなる業界でもM&Aを用いた再編・寡占化は活用できる手段であり、企業の成長だけではなく経済の安定化も図れます。
実際に、調剤薬局業界では大手企業がシェア拡大を図るべくM&Aを積極的に活用しており、M&A実施件数が大きく伸びました。もともと調剤薬局業界ではトップ企業であっても市場シェア率が低く、シェア拡大を狙える余地が存分にあったのです。
上記の流れは調剤薬局業界だけでなく、寡占化が進む業界に広がっていくものと見られます。
③ベンチャー企業によるM&A増加
リーマンショック以降低迷していた新規株式公開(IPO:Initial Public Offering)の動向も徐々に回復しつつある一方で、日本のベンチャー企業がEXITの手段としてM&Aを活用するケースが増加中です。もともと米国ではベンチャー投資先としてM&Aが用いられてきましたが、日本でもベンチャー企業育成のためにEXIT方法のオプションとしてM&Aは重要視されています。
かつて国内スタートアップのEXITはIPOが中心でしたが、最近では差が急激に縮まっている状況です。2016年におけるIPO件数はM&A件数の約4倍でしたが、2018年において約1.4倍にまで差を縮めており、M&Aの勢いが年々盛んになっていることがわかります。
また、2019年において日本企業が関わったM&Aの件数は4,088件(前年比6.2%増)であり、3年連続で更新を続けている状況です。そして全体の約3割超は、ベンチャー企業を対象とするM&Aでした。
一般的な企業価値算定額を遥かに上回るM&A事例もあり、今後は国内企業においてもEXITとしてM&Aが広く活用されていくと見られます。
3. M&Aのメリット
もともとM&Aとは、買収側・売却側双方の存在によって成立します。したがって、M&Aによるメリットは買収側と売却側それぞれに存在するのです。
本章では、M&Aによるメリットについて、買収側と売却側という2つの視点から解説します。
買収側のメリット
M&Aによる買収側のメリットには、主に以下の4つがあります。
- 技術獲得
- 人材確保
- 事業の多角化
- コストの削減
それぞれのメリットを順番に見ていきます。
①技術獲得
技術獲得には、ノウハウの獲得も含まれます。そもそも企業は、新規事業へ進出する際に新たな商品・サービスの開発が必要となる場合が多いでしょう。
新たな商品・サービスを開発する際に必要となるのが技術・ノウハウだといえます。M&Aによる買収で技術・ノウハウを獲得できれば、新規事業に進出しやすくなるのです。
②人材確保
会社を経営するうえで、最も重要となる資源は人材です。技術・ノウハウと合わせて人材も確保できれば、企業が事業を進めていくうえで非常に有利な条件が揃います。
自社のコアとなる事業に弱みがある場合にも、人材確保によってネガティブ要素の改善が見込めるのです。
③事業の多角化
買収側は、M&Aにより多角化経営の実現および隣接事業への進出が可能となります。なぜなら、M&Aでは、シナジー効果の獲得を期待できるためです。
シナジー効果とは、相乗効果をさします。例えば、不動産業を手掛ける企業が小売業を買収すると、シナジー効果により両社の持つ広告口が広がるため、売上を伸ばすことが可能です。
④コストの削減
既存事業のシェアを拡大できれば、「規模の経済」が働いて仕入れ・運用に関するコストを削減できます。
これは、買収対象会社の取引先・顧客などの承継により生まれるメリットであり、短期間で事業拡大を実施可能です。
また、品質管理・物流・販売の各部門を一元化できれば、生産性の向上も期待できます。
売却側のメリット
M&Aによる売却側のメリットは、主に以下の4つがあります。
- 後継者問題の解消
- 従業員の雇用確保
- 経営者の個人保証の解消
- 資金調達の実現
それぞれのメリットを順番に見ていきます。
①後継者問題の解消
多くの中小企業を悩ませる後継者問題が解決できる点は、M&Aにおける売却側が得られる大きなメリットのひとつです。
現代は経営者の高齢化と少子化が問題視されており、事業を承継できる人材が会社内に居なかったり、子供が事業を承継できる能力がなかったりして、頭を悩ませる経営者が少なくありません。
M&Aにより第三者に事業を承継できれば、廃業せずとも自社を存続させられます。
事業を存続させると廃業に伴うコストを削減できるうえに、売却利益を獲得できるメリットもあるのです。
②従業員の雇用確保
M&Aは単純に事業のみを売却する行為ではなく、自社の従業員や経営資源なども承継対象となるため、売却後も従業員の雇用を確保するという経営者として最後の責任を果たせます。
ともに働いてきた従業員達をリストラするのではなく、従業員が引き続き同様の事業に携わっていける道を作ってあげられるのです。
これまでに培ってきた取引先・仕入先・顧客なども承継できる場合が多いため、周囲への影響を最小限に抑えつつリタイアできます。
③経営者の個人保証の解消
経営者自身が会社の連帯責任者となっている場合、リスクを心配して事業承継や廃業に踏み出せないといったケースは非常に多く見受けられます。
M&Aによる事業承継では、スキーム・契約内容次第で経営者の個人保証も承継可能です。
個人保証からの解放は経営者にとって心理的に大きなメリットとなり、リタイア後の生活に安心感をもたらします。
④資金調達の実現
もともとM&Aは、業績不振などの理由で仕方なく企業を売却するといった行為ではありません。過去の事例を見ると、本業や中核事業などに集中する目的で他の事業を売却する企業も多く存在します。
本業以外の事業を売却すれば資金が得られるため、他事業への資金に充てることが可能です。
また、株式取得による資本参加というスキームでは、売却後も経営に関われます。財務基盤が安定している企業の傘下となれば、事業の拡大を容易に実現できるメリットも期待可能です。
4. M&Aのデメリット
M&Aにはさまざまなメリットを期待できますが、その一方でデメリットも存在します。M&Aを進めていくうえでデメリットを理解しておくと、リスク回避につながるのです。
ここでは、M&Aを実施するデメリットについて、買収側と売却側という2つの視点から解説します。
買収側のデメリット
M&Aによる買収側のデメリットには、主に以下の4つがあります。
- 収益化できるか不確実
- 優秀な人材の流出
- シナジー効果が得られない
- 買収先企業との融合がうまくいかない
それぞれのデメリットを順番に見ていきます。
①収益化できるか不確実
M&Aは事業拡大・新規事業への参入など主として収益の拡大を目的として実施されますが、事業・会社を買収したからといって必ずしも収益化に成功するとは限りません。
M&Aでは契約条件次第で売却側の負債(簿外債務含む)などを引き継ぐため、取引対象を十分に認識しないまま承継すると収益化できないばかりか不利益を被るおそれもあります。
上記のリスクを回避するには、M&A前に財務デューデリジェンス(DD)を念入りに実施すると良いでしょう。
②優秀な人材の流出
M&Aでは売却側の優秀な人材やノウハウなどを獲得できますが、M&A後の人事制度・会社の風習・評価制度などを変えると、優秀な人材を流出させてしまうおそれがあります。
M&A後の労働条件変更・統合や買収後の派閥争いなどは従業員に不信を抱かれる原因となるため、M&Aによる買収を進める場合には人事デューデリジェンス(DD)を念入りに行うと良いでしょう。
③シナジー効果が得られない
シナジー効果とは相乗効果のことであり、十分に発揮されると足し算以上の成果をもたらします。
しかし、M&Aで組織が拡大すると意思決定のスピードが遅れてしまい、企業の弱体化と企業価値の低下を引き起こすおそれもあるのです。
つまり、M&A後に生じる部署ごとの連携不足・企業文化の違いなどは、シナジー効果獲得に失敗する原因となります。
こうした事態を避けるには、企業統合プロセス(PMI)を慎重に行うと良いでしょう。
④買収先企業との融合がうまくいかない
たとえM&A後の人材流出が避けられたとしても、M&Aは社風や従業員の待遇が異なる企業同士が統合する行為であるため、企業文化の違いにより会社内での融合がうまくいかないこともあります。
このような事態に陥ると、事業拡大までに時間や費用が必要以上に発生するうえに、その後の企業運営が円滑に進まない可能性が高いでしょう。M&Aを実施する際には、上記の点を踏まえて、なるべく自社と類似する文化を持つ企業を買収すると良いでしょう。
売却側のデメリット
M&Aによる売却側のデメリットには、主に以下の4つがあります。
- 従業員の労働条件が悪くなる
- 売却先の企業が見つからない可能性がある
- 取引先の反発や契約の打ち切り
- 企業文化の統合による障害
それぞれのデメリットを順番に見ていきましょう。
①従業員の労働条件が悪くなる
M&A後、買収側により雇用・労働条件を変更されると、自社に在籍していた従業員が離職するおそれがあります。
これは買収側を悩ませる問題でもあり、従業員の労働条件に関するデメリットは、買収側・売却側の双方に存在するのです。
雇用確保という経営者としての責任を果たせたとしても、実際に従業員が買い手側企業の風習に馴染めるかどうかは不透明となります。経営者は、こうしたリスクも把握したうえでM&Aを実施しなければなりません。
②売却先の企業が見つからない可能性がある
自社の売却を検討しても、売却先企業が見つからない限りM&Aを進められません。
経営者が自社に対してどれだけ時間や資金を費やしてきたとしても、M&Aにおいて評価される点は将来的に事業がどれだけ利益を生むのかという点・どれだけの価値があるのかという点が中心です。
自社に見合った買い手企業を見つけるには、事前にM&A仲介会社などの専門家に相談したうえで、希望額の設定・譲渡内容を含めたM&A戦略を十分に練ることが必要となります。
③取引先の反発や契約の打ち切り
買収によって契約条件の変更や担当者の変更などが生じた場合、長期にわたって良い関係を築き上げてきた取引先から反発されることがあり、場合によっては契約を打ち切られる可能性もあります。
M&A市場では会社の収益性を見込み評価で判断するケースもあるため、後のトラブルで企業価値を低下させないよう注意が必要です。
④企業文化の統合による障害
もともとM&A(売却・買収)とは異なる企業文化を持つ会社同士がひとつになる行為であるため、統合がうまくいかなければ弊害が生まれやすくなります。
M&A後における企業文化の融合は、時間をかけて入念に進めていくことが必要です。
融合がうまくいかなければM&A自体が失敗に終わるケースもあるため、従業員の仕事に対する考え方・姿勢・判断軸などを十分に考慮したうえでM&Aを進めていきましょう。
5. M&Aの成功手法
M&Aは短期間で事業拡大・新規事業への参入・経営基盤の強化などを図れる優れた経営戦略のひとつですが、必ずしも成功するとは限りません。
この章では、M&Aを行う際のポイント・成功手法を4つのトピックで詳しく解説します。
- マッチング・交渉・PMIを慎重に行う
- リスクを排除する
- 企業文化を理解する
- M&A仲介会社・アドバイザーを見極める
それぞれのトピックを順番に見ていきましょう。
①マッチング・交渉・PMIを慎重に行う
数あるM&Aプロセスの中でも、特にマッチング・交渉・PMIは重要視されています。
マッチングとは、M&A取引を行う相手側を選択するプロセスです。自社に見合った相手とM&Aを実施できれば、メリットを最大限獲得できます。シナジー効果の獲得が十分に狙えるほか、自社と類似する企業文化を持つ会社を相手に選ぶと成功しやすいでしょう。
交渉とは、M&Aに関する契約内容を話し合うプロセスをさします。自社に不利な条件でM&A取引を締結すれば、たとえ相性の良い相手とM&Aを実施したとしても、想定していたメリットを十分に得られません。交渉では、相手側の主張を尊重しつつ、自社において譲れない条件をしっかりと明示しましょう。
PMIとは、企業統合プロセスです。たとえ相性の良い相手と条件の良いM&Aを実施したとしても、企業統合が円滑に進まなければ、企業運営や自社の従業員に悪影響を与えかねません。特に従業員のモチベーション維持を念頭に置きながら、M&A検討段階よりPMIプロセスを熟考しておくと良いでしょう。
②リスクを排除する
いかなる企業であっても、経営リスクの認識および共有はM&Aを行ううえで重要な要素となります。
特にM&Aは買収側と売却側の信頼により取引がスムーズに進む行為であるため、自社においてマイナスとなり得る事実がある場合には早期の段階で専門家に共有すると良いでしょう。
マイナスとなり得る事実とは、具体的にいうと、負債・個人保証などが該当します。
都合の悪い事実を隠して交渉をしても、後から露見すれば買収側からの信用をなくすうえに、最悪の場合にはM&A自体が破談となる可能性もあるため十分に注意しましょう。
③企業文化を理解する
M&Aはシナジー効果を得て事業を拡大させたり収益を伸ばしたりすることが目的となる行為ですが、こうした目的を実現するには企業文化の違いを乗り越えなければなりません。
具体的には、買収側・売却側の間で信頼関係を築くだけでなく、文化の違いを理解したうえ経営戦略を練ることが重要です。
④M&A仲介会社・アドバイザーを見極める
M&Aプロセスを進めるには専門的な知識や見解が必要となるケースが多く、経営者が個人で進めることは非常に困難であるといわざるを得ません。
M&Aでは、契約書の作成・条件交渉などのさまざまなプロセスの遂行が求められるうえに、M&A戦略の策定時には専門知識や高度な知見からの判断が必要不可欠です。
こうした一連のプロセスをM&A仲介会社やM&Aアドバイザーなどの専門家に任せると、自社の条件に見合った取引をスムーズに進められるうえにトラブルも回避できます。
ただし、中には能力が不足していたり悪質だったりする業者も存在するため、M&A仲介会社とアドバイザーを選ぶ際には無料相談などを利用したうえで、信頼できる業者を見極めることが重要です。
M&Aのご相談はM&A総合研究所へ
M&A・売却・買収を成功させるには、信頼できる専門家に相談しなければなりません。
数ある専門家の中でも実績面・手数料面で相談しやすい機関は、M&A総合研究所です。
M&A総合研究所では、M&A・売却・買収に関する知識や実績を豊富に持つアドバイザーが専任サポートを行っております。
国内最安値水準の手数料体系に強みがあるほか、着手金・中間報酬は無料の完全成功報酬制を採用しており、コストを抑えつつ安心・安全なM&Aを実現可能です。
圧倒的な情報量と最適なマッチングにより、クロージングまで3~6か月程度の短期間でM&Aを済ませられます。
無料相談をお受けしておりますので、M&A・買収・売却をご検討の際は、お気軽にご連絡ください。
6. M&Aの流れ(手順)
M&Aの大まかな流れは、準備・交渉・最終契約の3段階にわかれます。各段階は、さらに細かなプロセスにわかれていく仕組みです。
M&Aスキームにより省略する部分があるほか手順が異なるケースもありますが、ここでは上記の3段階をもとに詳細なプロセスを交えて解説します。
準備
準備は、M&Aにおいて最も重要となるプロセスです。ここでは、M&Aの方向性や将来の目標などを踏まえたうえで、会社譲渡や会社買収のプランを第三者の意見も取り入れながら検討していきます。
経営者個人でM&Aを実施するのは非常に困難であり、スムーズに済ませるにはM&A仲介会社・アドバイザーなど専門家の協力が必須です。
M&A仲介会社・アドバイザーとの契約
専門家である第三者からの意見を聞きつつM&Aスキームや大まかな流れなどが定まったら、M&A仲介会社・アドバイザーなどと契約を締結します。
ここで締結する契約は「秘密保持契約書(NDA)」であり、取引・交渉時に公開されていない情報を入手したときに、第三者に対して情報を提供しないよう求める目的を持つ書類です。
交渉
M&A仲介会社・アドバイザーと契約を締結したら、次は買い手(売り手)企業を決めるプロセスです。
ここからは、買い手(売り手)企業へのアプローチ・条件交渉など、M&Aにおける交渉から最終契約までの流れを大まかに見ていきます。
買い手(売り手)へのアプローチ
M&Aの概要が決まったら、次はM&A相手となる法人・個人を見つけてアプローチするプロセスです。
譲渡・譲受先となり得る候補先をM&A仲介会社やアドバイザーにリストアップしてもらいながら、自社の希望条件に合う候補を決めていきます。
売り手側では「ノンネームシート」と呼ばれる書類を開示して、買い手側ではノンネームシートの内容を見て検討を進めていく仕組みです。
ノンネームシートには匿名状態で企業概要が記載されており、財務状況や簡単な事業内容などが盛り込まれます。
IM(Information Memorandum)の提示
売却側の場合、ノンネームシートを提示して買い手側企業が詳しい情報を求めてきたら、秘密保持契約を企業間で結んだうえで、IM(Information Memorandum)を提示します。
IMは日本語表記で「インフォメーション・メモランダム」と呼ばれる企業概要書のことであり、会社の名称・詳細な事業内容・財務情報などが記載される書類です。
IMを見た買い手企業は、M&Aについて具体的に検討していきます。
経営者同士の面談
経営トップ同士の面談では、主にM&Aの方向性や将来性・M&Aの売却価格などが話し合われます。
トップ同士の面談はM&Aプロセスにおいて1度のみ行われるケースがほとんどであり、非常に貴重な機会です。
買収・売却の検討に至った経緯・経営で大事にする信念などを共有できれば、M&Aにおいて最も大切となる信頼関係を構築できます。
ここで話がまとまると基本合意書を作成して、買い手側が独占交渉権を獲得する段取りです。
デューデリジェンス(DD)の実施
トップ面談により基本合意を締結した後は、デューデリジェンス(DD)を実施します。
デューデリジェンス(DD)とは、書面上ではわからない会社の状況把握を目的とする調査であり、買い手企業が専門家に依頼したうえで実施するケースがほとんどです。
ここで基本合意までに未開示であった情報が発覚すると、M&A取引自体が破談になりかねないため注意しましょう。
条件交渉
デューデリジェンス(DD)により交渉を断念させるような問題が発覚しなければ、より細かな条件交渉を進めていきます。
条件交渉は、経営者・役員・従業員の処遇や最終契約までのスケジュール調整を行うほか、契約成立までの期間における秘密事項などを定めるプロセスです。
上記の事項が決定されると、最終売却価格の決定などM&A取引における中核部分の交渉を進めます。
最終契約
条件交渉によりお互いの認識に相違がなければ、最終契約のプロセスに移行します。
以降の手続きでは取締役会・株主総会などでの議決が必要となるため、自社内でも準備を進めておかなければなりません。
最終契約書の締結
最終契約は英語で「DA:Definitive Agreement」と表記され、日本語では「ディフィニティブ・アグリーメント」と表記される契約です。
最終契約書には、譲渡内容・売買価格などが記載されます。最終契約を締結すると売買が成立して、譲渡金の受け取り・企業や事業の受け渡しなどのプロセスに移行する段取りです。
PMI(Post Merger Integration)の実施
譲渡金の受け取り・企業や事業の受け渡しなどが済むとM&A取引が完了し、PMIプロセスに移行します。
PMI(Post Merger Integration)とは、日本語表記で「ポストマージャーインテグレーション」と呼ぶプロセスです。PMIは、経営戦略やビジョンの浸透・生産性向上・コスト削減・従業員のモチベーション維持や向上などを目的に実施されます。
そのため、M&A実施後の企業に新たな組織体制を構築するために重要なプロセスです。
M&Aの流れについては動画でも解説しておりますので、合わせてご覧ください。
7. M&Aのスキーム
M&Aには、大まかに分けると合併・買収・分割という3つのスキームがあります。これらの大まかなスキームは、事業譲渡や株式譲渡というように、さらに細かく分類されているのです。
この章では、M&Aの理解をより深めるため、M&Aのスキームについて解説します。
合併
合併は、英語では「Mergers」と表記し、日本語では「マージャーズ」と表記するスキームです。合併は複数の会社が法的にひとつに統合されるスキームであり、数あるM&Aスキームの中でも比較的結びつきの強いスキームだといえます。
第三者の関係にある企業間でいきなり合併を実行するケースは少なく、株式譲渡により100%子会社化したうえで、頃合いを見て合併を実行するケースが一般的です。
合併には、吸収合併と新設合併という2種類のスキームがあります。この2つのスキームについては、以下で詳しく解説します。
吸収合併
吸収合併は、英語で「Absorption-type Merger」と表記し、日本語で「アブソープション(タイプ)・マージャー」と表記します。
吸収合併は、一方の法人格を残しながら、もう一方の法人格を消滅させるスキームです。合併により消滅する会社の権利・義務のすべては、合併後に存続する会社へと引き継がれます。
新設合併
新設合併は、英語で「consolidation-type merger」と表記し、日本語では「コンソリデーション(タイプ)・マージャー」と表記します。
新設合併は、すべての当事会社の法人格を消滅させつつ、新しく設立する会社に権利・義務を引き継がせるスキームです。
買収
買収は、英語で「Acquisitions」と表記し、日本語で「アクウィジション」と表記します。買収とは、一方の企業がもう一方の企業の議決権を過半数以上取得するなどして、企業(事業)を買い取るスキームです。
買収は経営の効率化・新規事業への進出などの目的で実施されるスキームであり、他企業の事業部門や営業権などのほか、ノウハウ・技術を持つ企業自体の買収が目指されることもあります。
買収を広義的に捉える場合、事業譲渡・資本提携など企業間の提携も含まれるため把握しておきましょう。
ここからは、代表的な買収のスキームを細かく紹介します。
株式取得
株式取得は、株式譲渡・第三者割当増資・株式交換に分けられます。各スキームの特徴は、以下のとおりです。
- 株式譲渡 → 売却企業が保有株式を買い手に譲渡して経営権を譲る
- 第三者割当増資 → 特定の第三者に対して株式を割り当てて増資する
- 株式交換 → 発行済株式を他企業に取得させて完全子会社関係を構築する
上記のように株式を売買するスキームだけでなく、株式を取得させて資本参加を実現するスキームも含まれます。
株式公開買付(TOB)
株式公開買付(TOB)は、英語で「Take Over Bid」と表記し、日本語で「テイク オーバー ビット」と表記します。
株式公開買付(TOB)は、買収先企業の株式取得を公告したうえで、不特定多数の株主から金融商品取引所を通さず直接的に株式を取得するスキームです。
株式公開買付(TOB)では、一般的に、金融商品取引所における取引価格よりも上乗せされた価格により買付が実施されます。
経営陣買収(MBO)
経営陣買収は、英語で「MBO:Management Buyout」と表記し、日本語で「マネジメントバイアウト」と表記します。
経営陣買収(MBO)は、オーナー経営者・経営陣・従業員などが自社株式を買収するM&Aスキームです。
具体的には、銀行や投資ファンドから資金調達を行ったうえで、自社株式を掌握します。
短期志向の株主・投資家などの意見に左右されることなく中長期的な経営戦略の実施および意志決定の迅速化などが図られるため、経営体制の見直し・上場企業に課せられる情報公開の厳格化などへの対応策として注目されるスキームです。
事業譲渡
事業譲渡は、企業が保有する事業の一部またはすべてを売却するスキームです。主として、不採算事業の整理を目的とする企業再編などにおいて採用されています。
売り手企業からすると、交渉次第では譲渡する事業に関する債務も引き継げる点がメリットです。
その一方で、買い手企業からすると価値の高い事業を手間・時間を削減しつつ獲得できる点にメリットがあり、最近では中小企業を中心に盛んに実施されています。
分割
分割は、会社の事業に関する権利義務の全部または一部を他企業に承継させる組織再編行為です。
会社分割は、新設分割と吸収分割という2種類に分けられます。
新設分割は、会社分割により新しい会社を設立したうえで、新設会社に事業などを承継させるスキームです。これに対して、吸収分割では、会社分割により事業などを他の既存会社に承継させます。
8. M&Aにかかる税金・手数料・経費
M&Aにより事業・会社を譲渡すると売却対価を受け取るため、当然課税対象となります。また、M&A仲介会社やアドバイザーに依頼した場合には、手数料や経費も発生するため注意が必要です。
M&Aにかかる税金はスキームによって異なるほか、手数料・経費は依頼するM&A仲介会社・アドバイザーによって異なります。
この章では、M&Aにかかる税金・手数料・経費についてまとめました。
M&Aにかかる税金
M&Aにかかる税金については、大まかに株式譲渡か事業譲渡によって課税方法が異なります。
株式譲渡の場合には、売り手側の株主が株式を売却して代金を受け取るため、課税を受けるのは売却代金を受け取った株主本人です。
株式譲渡における課税対象は、売却によって獲得した株式譲渡益となります。株式譲渡益に対して所得税が15.315%・住民税が5%かかるため、合計20.315%の課税を受ける仕組みです。
その一方で、事業譲渡では、売り手側の企業が事業に関する資産を売却して対価を受け取るため、この利益に対して法人税が課税されます。つまり、事業譲渡の場合には、株主本人への課税がありません。
事業譲渡における課税対象は個別資産ごとに計算されます。法人税の割合は、事業売却資産に対して29%〜42%程度となるケースが一般的です。
なお、事業譲渡は資産の譲渡に該当するため消費税が発生しますが、消費税の非課税品目に当たる資産については課税されません。
M&Aにかかる手数料・経費
M&A仲介会社やアドバイザーに依頼した場合には、仲介手数料などが掛かります。
M&A仲介会社やアドバイザーに依頼した場合の主な手数料・経費は、以下のとおりです。
- 事前相談料 → 依頼先によっては発生する。無料のケースも多い
- 着手金 → 50万円〜200万円が相場
- 最低手数料 → 200万円〜3,000万円程度(規模によって変動)
- リテイナーフィー → 50万円程度(無料の業者もある)
- デューデリジェンス(DD)費用 → 50万円〜300万円が相場
- 成功報酬 → 取引金額にレーマン方式を当てはめた金額
上記の中でも成功報酬に関しては、手数料の設定がM&A仲介会社やアドバイザーによって大きく異なるため、あらかじめ十分に確認しておきましょう。
9. 日本の国内企業におけるM&Aの課題点
かつての国内におけるM&Aを振り返ると、敵対的買収やそれに伴う議決権の獲得合戦などが大きく話題になったこともあり、M&A自体にそれほど良いイメージがありませんでした。
しかし近年ではM&A仲介会社やアドバイザーが増加したことを受けて、M&Aが持つ本来の定義が広く認知されるようになり「M&Aは経営戦略のひとつ」というイメージが確立されつつあります。
国内のM&A市場は急成長していますが、国内企業におけるM&Aでは課題点も浮き彫りになってきている状況です。
日本の国内企業におけるM&Aの課題点としては、以下の3つが挙げられます。
- M&Aに長けた人材が不足している
- 日本独自の人事制度
- 企業文化への対応
それぞれの課題点を順番に解説します。
①M&Aに長けた人材が不足している
国内企業の動向を見るとITベンチャーや新たな技術・サービスの創出を目指す企業が増加傾向にあり、大手企業によるスタートアップ企業への投資が盛んに行われています。
しかし、買い手である企業においては、投資した企業が開発した技術・ノウハウを自社の既存事業と組み合わせてシナジー効果の獲得可能性を見出したうえで、M&A実施を決断できる人材の不足が指摘されている状況です。
上記の要因としては、日本の大手企業のマネジメント層は新卒一括採用で雇用されており、ジェネラリストとしてキャリアを積んだ人材が大半となったことでM&Aに長ける人材が育ちにくい環境となっている点が挙げられます。
②日本独自の人事制度
終身雇用制度の定義が事実上崩壊しかけている日本の大手企業では、年功序列を前提とした職能給が見直されたことで、成果主義の職能給が浸透しつつあります。
競争優位性を生み出すために重要となるイノベーションには、包括的な人事制度・労働改革が必要です。具体的には、個人の能力を最大限に発揮できるような制度を敷く必要があります。
上記のような改変を実施できない企業は、たとえM&Aで将来性の高い技術やノウハウを獲得できたとしても、人事制度が障害となり想像以上のシナジー効果が得られない可能性が高いでしょう。
③企業文化への対応
M&Aでは、企業が保有する経営財産・人材・技術やノウハウなども譲渡・承継の対象となります。
統合後は異なる企業文化を有する従業員が同じ組織内で活動するため、さまざまな衝突・問題が発生する可能性が高いでしょう。
上記のようなトラブルは企業文化が生みだす価値観・信念などの違いによって起こりますが、それだけでなく従業員の意思決定やリーダーシップのあり方・チームワークや仕事に対する取り組み方なども影響します。
したがって、M&A実施前の人事デューデリジェンス(DD)やM&A後のPMIをとおして、経営者を含む従業員すべての意識改革が求められるのです。
10. M&Aの成功事例10選
M&Aは、シナジー効果が十分に発揮されてはじめて成功したと判断できる行為です。これまでに、大手企業から中小企業まで、M&Aによって成功を収めた企業は数多く存在します。
その一方で、M&A後にトラブルが発生するケースも多いほか、「PMIが円滑に進まなかった」「交渉を長引かせて破談させてしまった」「デューデリジェンスを専門家に依頼しなかった」ことでM&Aに失敗してしまう事例も少なくありません。
そこで最後に、実際のM&A成功事例を10選にして紹介します。M&Aを成功させた企業はどのような手法を用いていたのか、成功ポイントとともに把握しておきましょう。
スタートトゥデイがIQON(アイコン)を買収
2017年、大手ECサイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイは、メディアサービス「IQON」を運営するVASILYの株式を取得して完全子会社化しました。
本件M&AによりスタートトゥデイはVASILYのテクノロジーとデザイン力を活用しており、ファッションメディアの運営やサービスにAI(人工知能)を駆使しながらEC・アパレル分野において成長を見せています。
2018年10月1日にスタートトゥデイはZOZOに社名変更したほか、2019年には前ZOZO社長である前澤社長が退任してスタートトゥデイを設立しました。
日本電産がエマソン・エレクトリックスの事業を買収
日本電産は、早期段階から戦略的にM&Aを活用しており、買収した赤字企業をすべて黒字にしたという経歴を持っています。
代表的な成功事例は、2017年1月に実施した、アメリカの電気・電子機器メーカーのエマソン・エレクトリックが保有するモーター・ドライブ事業・発電機事業の買収です。総額1,200億円と日本電産における過去最高の取引でしたが、既存のPC用小型モーターを家電・商業産業用に事業転換する戦略を立てて業績を伸ばしています。
上記の事例後も、海外の企業では、2017年10月にはシンガポールのSVプローブ社、2018年8月にはドイツのMSグレスナー社などを買収しました。また、2019年10月には国内のオムロンオートモーティブエレクトロニクスを買収するなど、企業成長の原動力として積極的なM&Aの活用を続けています。
チャーターコミュニケーションズがタイムワーナーテレビを買収
2015年、当時アメリカのケーブルテレビ4位だったチャーターコミュニケーションズは、2位に位置していたタイムワーナーテレビを、約787億円(9兆7,000億円)で買収しました。
M&A後のチャーターコミュニケーションズは2018年11月時点で顧客数を2,500万人にまで伸ばしており、首位であるコムキャストまで急速に近づいています。本件M&A事例は、規模を拡大しつつ経費を圧縮して、価格競争力を強化する目的のもと実施されました。
DellがEMCを買収
2015年、アメリカのパソコンメーカーDellは、ストレージ機器開発を手掛けるEMCを買収しました。
本件買収によって、世界最大のプライベートIT企業グループ「Dell Technologies」が誕生しています。
M&A後の年間売り上げは約740億米ドルにも及んでおり、当時の会長マイケル・デルは「PCからサーバー、ストレージから仮想化、そしてセキュリティでも世界No.1の企業がひとつのグループに属した」と語りました。
2020年1月現在、Dellは年間売上787億米ドルにまで成長しています。
ライザップが夢展望を買収
2015年、キャッチーなCMで話題を集めている「ライザップグループ」は、レディースファッション通販の「夢展望」を買収してアパレル業界に進出しました。
夢展望は上場後の1年半で債務超過の危機に陥っていましたが、ライザップの出資を受けて子会社となり、2017年3月には2,700万円の営業黒字を収めています。
ライザップグループは近年アパレル業界への進出を加速させており、「ジーンズメイト」および素材を作る「堀田丸正」なども買収して事業を拡大させました。
また、2017年には印刷物を手掛けるエス・ワイ・ワイや、パッキングを製造販売している五輪パッキングを買収したほか、2018年には子会社のイデアインターナショナルを通じてバッグ製造会社のシカタを連結子会社化しています。
FacebookがWhatsAppを買収
海外企業の代表的な事例としては、2014年の、FacebookによるWhatsAppの買収が挙げられます。
本件M&Aの目的は、モバイル事業・ソーシャル分野におけるサービス拡大にありました。Facebookはコミュニケーションツールとしては世界最大規模でしたが、1対1のコミュニケーションツールとしては遅れをとっていたためM&Aの検討に至ったと推測されています。
本件買収は成功を収めており、買収後にWhatsAppの登録者は1カ月に2,500万人ペースで増加し、現在ではMessengerアプリとして独立しています。全世界におけるWhatsAppのユーザーは2019年10月時点で16億人にも及んでおり、アメリカだけでなく欧州・インドなどさまざまな国・地域で利用されているアプリです。
イオングループがウエルシアホールディングスを買収
2014年、イオングループは、ドラッグ・ファーマシー事業を行うウエルシアホールディングスを子会社化しました。
もともと業務提携をしていたウエルシアの創業者がイオンの傘下に入って連携強化による生き残りを図った目的がありましたが、一方のイオングループもドラッグ事業の強化を検討していたために子会社化に至っています。
本件M&A後に4つの企業と統合を進めたことで、イオングループの翌年の売上高は5,800億円を越えて、マツモトキヨシホールディングスを抜き業界トップにまで上り詰めました。
2019年2月期の連結決算ではヘルス・ウエルネス事業において売上高7,939億6,200万円まで伸びており、イオングループ全体から見ても売上高は9期連続で過去最高を更新しています。
ソフトバンクが日本テレコムを買収
2004年、ソフトバンクは、日本テレコムの買収によって、法人顧客の取り込みに成功しています。
また同年、ソフトバンクはホークス球団を買収しており、プロ野球界に進出しました。さらに2006年にはボーダフォン日本法人を買収し携帯電話業界に本格的に進出したほか、2013年にはイー・アクセスやガンホー・オンライン・エンターテインメントを子会社化するなど、ソフトバンクは今や日本を代表する企業にまで成長したのです。
なお、1996年にソフトバンク・米国Yahoo Inc.の共同出資で設立された日本法人ヤフーは2019年にZホールディングスへと商号を変更し、同年にはZOZOを買収してLINEとの経営統合に合意しています。
楽天がマイトリップ・ネットを買収
2003年、インターネットショッピングモール大手の楽天は、日立造船からマイトリップ・ネットを323億円にて買収しています。
本件買収により現在の「楽天トラベル」が創設されて、2017年における国内旅行業ではJTBグループについで2位という取引高にまで業績を成長させました。楽天もM&Aを積極的に行いながらグローバル化を進めており、成功事例が多い企業のひとつです。
2018年の通期決算において、楽天は初めて売上収益1兆円超えを果たしました。
日本JTがRJRナビスコを買収
1999年、JTは、アメリカのRJRナビスコ社を買収したことで海外市場の獲得に成功しています。
本件M&AによりJTは「新規事業への参入」と「事業拡大」を果たしており、世界的ブランドとともに工場・営業拠点・人材などを獲得して急速的な成長を遂げています。
また、JTはRJRナビスコの投資不足を解消しつつ、ブランドの価値低下や品質劣化も乗り越えて成功を収めました。
2018年12月時点におけるJTの経常利益は5,314億円に及んでおり、日本国内企業ランキング18位に位置しています。
11. M&Aアドバイザーが答えるM&Aに関するQ&A
ここではM&Aに関する疑問について、監修を務めた私、矢吹が回答いたします。M&Aに関する代表的な疑問は、以下のとおりです。
- 少しでも高く売却する秘訣は?
- 赤字や債務超過の企業はM&Aできない?
- 金融機関・公的機関・士業事務所とM&A仲介会社の違いは?
- 完全成功報酬制のメリットは?
- 秘密保持契約書を締結しないとどんな問題が発生するの?
- 見せたくない書類は提供しなくても良いの?
- 従業員や取引先に対するM&Aの公表はいつ行うの?
今までの培った経験、知識を元に回答いたしますので、よろしくお願いいたします。
①少しでも高く売却する秘訣は?
買い手とのM&A交渉において、「買収する価値のある会社」であることをアピールしていくことが大切です。
とはいえ、M&Aを開始すると、経営者にさまざまなプロセスの実施が求められるため、日常業務が疎かになってしまいやすいでしょう。これにより自社の業績が低下してしまうと、買い手からの印象を落としかねません。
好条件での取引を目指す場合、M&Aによる売却が決定したら業績の伸長を最優先に考えましょう。そのためにも、M&Aで必要なプロセスは、仲介会社などのサポートを得ながらスムーズに進めていくことをおすすめします。
②赤字や債務超過の企業はM&Aできない?
結論から述べると、赤字・債務超過の企業であってもM&Aできる可能性は十分にあります。たとえそれまでの経営状態が悪くても、適切に再生処理をこなしていけば、M&Aによる売却を目指せるのです。
また、そもそも赤字に関する誤解も多く見られます。具体例を挙げるならば、赤字が一時的な投資により生じている企業です。こうした企業では、投資に成功して利益が生じれば、赤字から脱却する可能性が大いにあります。
さらに、赤字会社の中に優秀な人材が眠っているケースも多いでしょう。企業が赤字だとしても、その人材が巨額の利益を生み出す可能性は十分にあることから、M&Aにより買収を希望する企業は少なくありません。
M&Aによる売却を目指すうえで大切なポイントは、赤字・債務超過の程度や理由を明らかにしておくことだといえます。自社の状況を十分に整理しておくと、「自社であれば経営状態の改善や立て直しができる」と考える買い手が見つかる可能性が高いでしょう。
③金融機関・公的機関・士業事務所とM&A仲介会社の違いは?
M&Aに関する相談先には、仲介会社・アドバイザー以外にも以下のようなものがあります。
- 金融機関
- 公的機関(事業引継ぎ支援センター)
- 士業事務所(税理士・会計士・弁護士事務所)
とはいえ、上記に挙げた機関は、M&Aの専門家ではありません。そのため、M&Aに関する知識・実績・経験が豊富でないケースも多く、適切なマッチングを図れなかったり、プロセスにかかる時間が長引いたりするおそれがあります。
M&Aの成否に直接影響する場合もあるため、成功確率を高めたい場合にはM&A仲介会社・アドバイザーに相談・依頼しましょう。なお、依頼先を決める際には、複数機関に相談したうえで、M&Aの知識・実績・経験・人柄などを比べることをおすすめします。
④完全成功報酬制のメリットは?
完全成功報酬制を採用する仲介会社に依頼すると、M&Aが成立しない限り手数料の支払いは一切求められません。そのため、実際にM&Aが成立するのかどうか不安に感じている場合であっても、費用面でのリスクを最小限に抑えたうえでM&Aの実施を図れるのです。
また、着手金制のM&A仲介会社では、着手金を取ることだけを目的として、クライアントに対して通常よりも高額な企業価値算定を提示する可能性があります。その結果、買い手が現れず、譲渡自体が困難になるケースも多いでしょう。
その一方で、売り手・買い手ともに着手金を無料とするM&A仲介会社に依頼すれば、着手金の存在により検討を断られることがなく、多数の買い手候補に同時並行で提案・交渉を行えます。
なお、手数料はM&A成立時に請求されるため、M&Aで獲得した譲渡益を手数料の支払いに充てることも可能です。
⑤秘密保持契約書を締結しないとどんな問題が発生するの?
M&A仲介会社・アドバイザーへの相談時に秘密保持契約書を締結しておかないと、自社が提供した資料などから機密情報が漏えいしてしまいかねません。M&Aを検討しているという情報が広まれば、「経営状態が悪いのでは?」という憶測を呼び、自社の従業員・取引先などを動揺させてしまうおそれがあります。
その結果、従業員が離職してしまったり、取引先から取引を打ち切られたりする可能性が考えられるのです。外部に情報が漏れてしまえば、自社の株価に悪影響を及ぼす場合もあります。こうしたトラブルを発生させないためにも、秘密保持契約を締結しておきましょう。
⑥見せたくない書類は提供しなくても良いの?
M&Aで提出する書類の中には自社にとって不利な情報が含まれるケースもあるかと思いますが、こうした情報も含めて隠さずに提供しましょう。なぜなら、虚偽の申告をしたままM&Aの手続きを進めてしまうと、相手企業との間でトラブルが発生する可能性が高いためです。
基本合意後に虚偽の申告が発覚すれば、譲渡価格が著しく低下してしまったり、M&A取引そのものが破談となってしまったりするおそれがあります。必要となる情報をすべて開示したうえで、自社にとって最適な相手企業を探していきましょう。
⑦従業員や取引先に対するM&Aの公表はいつ行うの?
従業員・取引先に対してM&Aを公表するタイミングは、M&Aの成立後が良いでしょう。ここでは、誠意を持ってM&A成立を報告することが大切です。従業員・取引先を誤解させたりネガティブな印象を与えたりしないよう、あらかじめアドバイザーに相談したうえで説明方法を検討しましょう。
M&Aの公表後は、速やかに統合プロセスに移行します。従業員の引き継ぎが円滑に進むよう、経営者の方も自社に一定期間残りながら統合プロセスを完了させてください。
12. まとめ
M&Aは、近年増加している後継者問題や市場縮小をはじめさまざまな経営課題の解決方法として活用されています。
M&Aで享受できるメリットは予想を上回ることがある一方で、失敗すると企業にとって大きな損失となりかねません。
M&Aを成功させるには、細かなプロセスの定義や意味を踏まえたうえで、自社に合った戦略を策定すると良いでしょう。
しかし、M&Aの検討・実施には専門的な知識や見解が必要となる場合が多く、経営陣のみで進めていくのは決して簡単ではありません。
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