M&Aとは?M&Aの流れやメリット・手法などわかりやすく解説!

弁護士(日本法)/ 事業承継士 弁護士法人One Asia 福岡オフィス代表パートナー
越路 倫有

2003年より企業法務を扱う国内法律事務所にて、金融取引、不動産、事業承継などの分野における日常の法律相談や各種契約書の作成、リーガルサポートを提供。弁護士法人One Asiaでは、福岡オフィスの代表パートナーとして参画し、九州とASEANの現地各拠点との取引をサポートしている。

M&Aは企業の合併と買収を意味しますが、その手法はさまざまです。M&Aを成功させるには各手法の流れやメリット・デメリットを正確に理解することが必要です。M&Aについて、メリットなどを総合的にわかりやすく解説し、成功事例も掲示します。

目次

  1. M&Aとは?
  2. M&Aのメリット・デメリット
  3. M&Aの流れ(手順)
  4. M&Aのスキーム(手法)
  5. M&Aにかかる税金・手数料・経費
  6. M&Aの成功事例5選
  7. M&Aの市場動向
  8. 日本の国内企業におけるM&Aの課題点
  9. M&Aに関するQ&A
  10. まとめ
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1. M&Aとは?

図解:M&Aの種類

M&Aとは、合併買収を意味する言葉です。もともと外国企業を中心に経営戦略の1つとして活用されていましたが、近年では日本国内の企業も積極的にM&Aを活用しています。

特に企業の後継者不在問題を解決するためにM&Aは国内でも広く活用されており、年々その数は伸びておりますが、後継者不在ではない企業も会社の成長のためにM&Aを活用するケースが増えております。

M&Aには多くのメリットが存在しており、これまでにM&Aを実施したことでその後の経営を成功させた企業は少なくありません。この記事では、まず、M&Aの定義や意味・M&A用語の読み方などをわかりやすく解説します。

その後に、M&Aの理解を深めるために、M&Aのメリット・成功手法・流れ・事例などについてもわかりやすく解説しますので、順を追って把握していきましょう。

M&Aの意味

ここでは、M&A(エムアンドエー)の名前の由来を解説します。M&Aとは、正式名称はMergers and Acquisitionsです。カタカナ表記の読み方は、「マージャーズ・アンド・アクイジションズ」となります。

それぞれ、Mergers=合併Acquisitions=買収という意味の英単語です。つまり、M&Aとは、この2つの単語の頭文字を取った用語となります。

合併(Mergers)

M&Aにおける合併(Mergers)とは、2つ以上の企業を1つの企業に統合するスキーム(手法)のことです。合併により2つ以上の企業は1つの法人格となりますが、ここでは資産や負債なども全て引き継がれます。

具体的な合併手法は2種類あり、それは吸収合併新設合併です。いずれのスキームでも資産や負債を引き継ぐ点は同じですが、許認可や免許の承継は、以下のような相違点があるため、注意が必要になります。
 

  • 新設合併:存続する会社に消滅する会社の許認可や免許の承継はできない
  • 吸収合併:存続する会社に消滅する会社の許認可や免許も承継できる

また、新設合併前の企業が上場している場合、新設合併を行うと消滅しますから上場廃止となります。存続会社である新設会社が上場を望む場合、一から業績を積み上げ、手続きが必要です。これに対して、吸収合併の存続会社は、上場がそのまま維持されます。

買収(Acquisitions)

M&Aにおける買収(Acquisitions)とは、1つの企業の経営権を買い取ったり、企業の一部の事業を買い取ったりするスキーム(手法)です。

M&Aにおける買収の主なスキームには、
株式譲渡事業譲渡株式交換株式移転などがあり、それぞれ以下のような特徴があります。
 

  • 株式譲渡:売り手が株式を売却し買い手は対価として現金を支払うが、経営権を安定的に掌握するには議決権付きの全株式のうち3分の2以上の取得が必要
  • 事業譲渡:売り手企業が持つ事業の全て、または一部を買収する
  • 株式交換・株式移転:譲渡側の全株式を他社に譲渡して、譲受側は対価を株式で支払う

 

なお、株式交換と株式移転では、株式を交付する対象に相違点があります。株式交換は既存の企業に株式を譲渡するスキームであるのに対して、株式移転は新設した企業に移転させるスキームです。

M&Aの目的

M&Aは企業にとって重要な経営戦略の1つとなりますが、M&Aが行われる目的は企業ごとに多種多様です。企業がM&Aを行う目的は、大まかに挙げると3つあります。1つ目の目的は、相手先企業が持つ資金・人材・ノウハウなどの吸収です。

M&Aで自社の中核事業を強化したり弱みを補填したりできれば、新たな市場への進出や事業の立ち上げなどが可能となります。

2つ目の目的は、中小企業の後継者問題の解決です。近年は、後継者問題や業績不振などを理由に、会社や会社の一部事業を売却するためにM&Aを用いるケースも増加しています。

3つ目の目的は、事業の拡大です。企業のさらなる成長を求める場合には、たとえ業績が好調であっても大手企業の傘下に入って事業拡大を目指す事例が少なくありません。

2. M&Aのメリット・デメリット

M&Aとは、経営戦略上、大きなメリットをもたらすものです。しかし、残念ながら、そこにはデメリットもあります。M&Aのメリット・デメリットについて、売却側・買収側それぞれの観点から、主なものを掲示し、わかりやすく解説します。

売却側のメリット・デメリット

M&Aにおける売却側の主なメリット・デメリットには、以下のものがあります。

売却側のメリット 売却側のデメリット
後継者問題の解消 従業員の労働条件が悪くなる可能性
従業員の雇用確保 売却先の企業が見つからない可能性がある
経営者の個人保証の解消 取引先の反発や契約の打ち切り
資金調達の実現 企業文化の統合による障害

売却側のメリット

M&Aによる売却側のメリットは、主に以下の4つがあります。
 

  1. 後継者問題の解消
  2. 従業員の雇用確保
  3. 経営者の個人保証の解消
  4. 資金調達の実現

それぞれのメリットを順番に見ていきます。

①後継者問題の解消

多くの中小企業を悩ませる後継者問題が解決できる点は、M&Aにおける売却側が得られる大きなメリットの1つです。

現代は経営者の高齢化と、少子化による後継者不足が問題視されており、事業を承継できる人材が会社内にいなかったり、子供が事業を承継できる能力がなかったりして、頭を悩ませる経営者が少なくありません。

経営者が高齢になると引退せざるを得なくなりますが、後継者がいないと会社を廃業するしか無くなります。そうなると取引先にも迷惑をかけることになりますし、なにより従業員が全員職を失うことになってしまいます。

M&Aにより第三者に事業を承継できれば、廃業せずとも自社を存続させられます。事業を存続させると廃業に伴うコストを削減できるうえに、売却利益を獲得できるメリットもあるのです。

②従業員の雇用確保

M&Aは単純に事業のみを売却する行為ではなく、自社の従業員や経営資源なども承継対象となるため、売却後も従業員の雇用を確保する経営者としての責任を果たせます。

ともに働いてきた従業員達をリストラするのではなく、従業員が引き続き同様の事業に携わっていける道を作ってあげられるのです。また、これまでに培ってきた取引先・仕入先・顧客なども承継できる場合が多いため、周囲への影響を最小限に抑えつつリタイアできる可能性があります。

③経営者の個人保証の解消

経営者自身が会社の負債の連帯責任者となっている場合、リスクを心配して事業承継や廃業に踏み出せないといったケースは非常に多く見受けられます。

M&Aによる事業承継では、スキーム(手法)・契約内容次第で経営者の個人保証が解消可能です。個人保証からの解放は経営者にとって心理的にも経済的にも大きなメリットとなり、リタイア後の生活に安心感をもたらします。

④資金調達の実現

元来、M&Aとは、業績不振などの理由で仕方なく企業を売却するといった行為ではありません。過去の事例を見ると、本業や中核事業などに集中する目的で他の事業を売却する企業も多く存在します。
資金ショートする前の対策としてM&Aをする企業もあります。

そのような事業譲渡では、本業以外の事業を売却すれば資金が得られるため、本業への資金に充てることが可能です。

また、株式取得による資本参加というスキーム(手法)の場合、売却後も経営に関われます。財務基盤が安定している企業の傘下となれば、事業の拡大を容易に実現できるメリットも期待可能です。

売却側のデメリット

M&Aによる売却側のデメリットには、主に以下の4つがあります。
 

  1. 従業員の労働条件が悪くなる可能性
  2. 売却先の企業が見つからない可能性がある
  3. 取引先の反発や契約の打ち切り
  4. 企業文化の統合による障害

それぞれのデメリットを順番に見ていきましょう。

①従業員の労働条件が悪くなる可能性

M&A後、経営統合プロセス(PMI=Post Merger Integration)の過程で、買収側の人事規定にのっとって売却側従業員の雇用・労働条件は変更されるのが常です。多くの場合、買収側の方が経営規模も大きく、雇用・労働条件は改善される傾向にあります。

しかし、中小企業であった売却側においては、就業規則などの内部規定が不十分であることがあり、買収側の大手企業の内部規定はきちんとした定めがあることから、新たな労働条件を不満に感じるかもしれません。

個人によっては、雇用・労働条件が悪くなったと思う従業員が出る可能性もあります。この場合、その従業員は離職してしまう可能性もあり、PMIにおいて、どれだけケアできるかが課題です。

また従業員の雇用条件についてはM&Aの最終契約書において、条件が悪くなるような変更をしばらくの間はしない、ということを定めることもできます。
買い手企業を探す段階において、こういった内容を理解してくれる会社を探すということもM&A成功のポイントの一つです。

②売却先の企業が見つからない可能性がある

自社の売却を検討しても、売却先企業が見つからない限りM&Aを進められません。経営者が自社に対してどれだけ時間や資金を費やしてきたとしても、M&Aにおいて評価されるのは、将来的に事業がどれだけ利益を生むのか・どれだけの価値があるのかという点が中心です。

自社に見合った買い手企業を見つけるには、事前にM&A仲介会社などの専門家に相談したうえで、希望額の設定・譲渡内容を含めたM&A戦略を十分に練ることが必要となります。

③取引先の反発や契約の打ち切り

買収によって取引先との契約条件変更や担当者変更などが生じた場合、長期にわたって良い関係を築き上げてきた取引先から反発されることがあり、場合によっては契約を打ち切られる可能性もあります。

特に中小企業の場合は、オーナーが個人的に取引先と付き合いがあり、それにより良い条件で契約ができていた場合などは、オーナーが代わることで契約条件もこれまで通りにはいかないということも考えられます。

M&Aでは会社の収益性を見込み評価で判断するケースもあるため、後のトラブルで企業価値を低下させないように注意が必要です。

またそうならないように、取引先への説明なども慎重に行う必要があります。M&A実行後には新しい担当者と一緒に取引先に挨拶に行くなどし、時間をかけて引き継ぐことが重要です。

④企業文化の統合による障害

M&Aとは、異なる企業文化を持つ会社同士が1つになる行為であるため、統合がうまくいかなければ弊害が生まれやすくなります。M&A後における企業文化の融合は、時間をかけて入念に進めていくことが必要です。

融合がうまくいかなければM&A自体が失敗に終わるケースもあるため、従業員の仕事に対する考え方・姿勢・判断軸などを十分に考慮したうえでM&Aを進めていきましょう。

買収側のメリット・デメリット

M&Aにおける買収側の主なメリット・デメリットには、以下のものがあります。

買収側のメリット 買収側のデメリット
技術獲得 収益化できるか不確実
人材確保 優秀な人材の流出
事業の多角化 シナジー効果が得られない
コストの削減 買収先企業との融合がうまくいかない

買収側のメリット

M&Aによる買収側のメリットには、主に以下の4つがあります。
 

  1. 技術獲得
  2. 人材確保
  3. 事業の多角化
  4. コストの削減

それぞれのメリットを順番に見ていきます。

①技術獲得

技術獲得には、ノウハウの獲得も含まれます。そもそも企業は、新規事業へ進出する際に新たな商品・サービスの開発が必要となる場合が多いでしょう。

新たな商品・サービスを開発する際に必要となるのが技術・ノウハウだといえます。M&Aによる買収で技術・ノウハウを獲得できれば、新規事業に進出しやすくなるのです。

②人材確保

会社を経営するうえで、最も重要となる資源は人材です。技術・ノウハウと合わせて人材も確保できれば、企業が事業を進めていくうえで非常に有利な条件がそろいます。自社のコア事業に弱みがある場合にも、人材確保によってネガティブ要素の改善が見込めるのです。

③事業の多角化

買収側は、M&Aにより多角化経営の実現および隣接事業への進出が可能となります。なぜなら、M&Aでは、シナジー効果の獲得を期待できるためです。

シナジー効果とは、相乗効果のことです。例えば、不動産業を手掛ける企業が小売業を買収すると、シナジー効果により両社の持つ広告口が広がるため、売上を伸ばすことが可能です。

その他にも、互いの事業が良い影響を及ぼし合うことで、それぞれの売上が更に伸びるケースは多々あります。

④コストの削減

既存事業のシェアを拡大できれば、「規模の経済」が働いて仕入れ・運用に関するコストを削減できます。これは、買収対象会社の取引先・顧客などの承継により生まれるメリットであり、短期間で事業拡大を実施可能です。

また、品質管理・物流・販売の各部門を一元化できれば、生産性の向上も期待できます。

買収側のデメリット

M&Aによる買収側のデメリットには、主に以下の4つがあります。
 

  1. 収益化できるか不確実
  2. 優秀な人材の流出
  3. シナジー効果が得られない
  4. 買収先企業との融合がうまくいかない

それぞれのデメリットを順番に見ていきます。

①収益化できるか不確実

M&Aとは、事業拡大・新規事業への参入など主として収益拡大を目的として実施されるものですが、事業・会社を買収したからといって、必ずしも収益化に成功するとは限りません。

M&Aでは契約条件次第で売却側の負債(簿外債務を含む)などを引き継ぐため、取引対象を十分に認識しないまま承継すると、収益化できないばかりか不利益を被るおそれもあります。

上記のリスクを回避するには、M&A前に財務デューデリジェンス(DD)を念入りに実施すると良いでしょう。

②優秀な人材の流出

M&Aでは売却側の優秀な人材やノウハウなどを獲得できますが、M&A後に売却側の人事制度・会社の風習・評価制度などを変えると、優秀な人材を流出させてしまうおそれがあります。

M&A後の労働条件変更・統合や買収後の派閥争いなどは従業員に不信を抱かせる原因となるため、M&Aによる買収を進める場合には人事デューデリジェンス(DD)を念入りに行い、その内容を企業統合プロセス(PMI)に反映させると良いでしょう。
特に既存の従業員に不利にならないようにすることが重要です。

③シナジー効果が得られない

シナジー効果とは相乗効果のことであり、十分に発揮されると足し算以上の成果をもたらします。しかし、M&Aで組織が拡大すると意思決定のスピードが遅れてしまい、企業の弱体化と企業価値の低下を引き起こすおそれもあるのです。

つまり、M&A後に生じる部署ごとの連携不足・企業文化の違いなどは、シナジー効果獲得に失敗する原因となります。こうした事態を避けるには、企業統合プロセス(PMI)を慎重に行うと良いでしょう。

④買収先企業との融合がうまくいかない

たとえM&A後の人材流出が避けられたとしても、M&Aは社風や従業員の待遇が異なる企業同士が統合する行為であるため、企業文化の違いにより会社内での融合がうまくいかないこともあります。

このような事態に陥ると、事業拡大までに時間や費用が必要以上に発生するうえに、その後の企業運営が円滑に進まない可能性も高まるでしょう。M&Aを実施する際には、この点を踏まえて、なるべく自社と類似する文化を持つ企業を買収するのが良策です。

3. M&Aの流れ(手順)

M&Aの大まかな流れは、準備・交渉・最終契約の3段階があり、さらに段階ごとに細かなプロセスに分かれます。用いるM&Aスキーム(手法)によって詳細部分の差異はありますが、根幹の手順は変わりません。以下で、その内容をわかりやすく解説します。

準備

準備段階とはいえ、これもM&Aでは非常に重要となるプロセスです。M&Aの方向性や将来の目標などを踏まえたうえで、会社譲渡や会社買収のプランを第三者の専門家の意見も取り入れながら検討していきます。

誤った進め方をすると、適切な相手が見つからず、時間が無駄になってしまうこともあるので、準備にはしっかり時間をかけることが望ましいです。

特に中小企業の経営者個人のみでM&Aを実施するのは非常に困難であり、スムーズに行うためにはM&A仲介会社・アドバイザーなど専門家の協力が必須です。

交渉

M&A仲介会社・アドバイザーなどの専門家と契約を締結したら、次は買い手(売り手)企業を決めるプロセスです。ここからは、買い手(売り手)企業へのアプローチ・条件交渉など、M&Aにおける交渉から最終契約までの流れを大まかに見ていきます。

買い手(売り手)へのアプローチ

まずは、M&A相手候補となる法人・個人を見つけてアプローチするプロセスです。譲渡・譲受先となり得る候補先をM&A仲介会社やアドバイザーなどの専門家にリストアップしてもらいながら、自社の希望条件に合う候補を決めていきます。

売り手側からは「ノンネームシート」と呼ばれる書類を開示し、買い手側ではノンネームシートの内容を見て検討を進めていく仕組みです。

ノンネームシートは匿名状態で企業概要が記載されており、財務状況や簡単な事業内容などが盛り込まれます。
ノンネームシートだけではどの企業かは特定できない情報量ですが、それでいて買い手側が進めるかどうかをある程度判断できる程度の材料を記載します。

IM(Information Memorandum)の提示

売却側の場合、ノンネームシートを提示して買い手側企業が詳しい情報を求めてきたら、秘密保持契約(NDA/CA)を企業間で結んだうえで、IM(Information Memorandum)を提示します。

IMは日本語表記で「インフォメーション・メモランダム」と呼ばれる企業概要書のことであり、会社の名称・詳細な事業内容・財務情報などが記載される書類です。IMを見た買い手企業は、M&Aについて具体的に検討していきます。

経営者同士の面談

経営トップ同士の面談では、主にM&Aの方向性や将来性、M&A後の運営方法などが話し合われます。トップ同士の面談はM&Aプロセスにおいて必ず行われるものであり、契約の成否を左右する貴重な機会です。

買収・売却の検討に至った経緯・経営で大事にする信念などを共有できれば、M&Aにおいて最も大切となる信頼関係を構築できます。

トップ面談の後に、買い手側がM&Aに前向きである場合、LOI(Letter of Intent=意向表明書)を売り手に提出するケースもありますが、これは必ずしも必須のプロセスではありません。

そして、条件面も含め、大まかな合意がなされた場合、MOU(Memorandum of Understanding=基本合意書)を作成して、買い手側が独占交渉権を獲得する段取りとなります。

ただし、MOUはあくまでも基本合意書であって、契約が成立したわけではない点に注意しましょう。

【関連】M&Aの契約書(基本合意契約書、最終契約書)について

デューデリジェンス(DD)の実施

トップ面談により基本合意を締結した後は、デューデリジェンス(DD)を実施します。デューデリジェンス(DD)とは、売り手企業の状況把握を目的とする精密調査であり、買い手企業が専門家に依頼したうえで実施するケースがほとんどです。

DDには主に財務DDや法務DDなどがあります。財務DDでは公認会計士や税理士などが売り手企業の財務資料を細かく調査し、財務の問題が無いかなど細かく確認します。
法務DDでは主に弁護士が売り手企業の法務面や、契約書周りなどを細かく確認します。

ここで基本合意までに未開示であった問題が発覚したり、顕在化していなかったリスクが明らかになったりすると、M&A取引自体が破談になりかねないため注意しましょう。

最終条件交渉

デューデリジェンス(DD)で交渉を断念させるような問題が発覚しなければ、最終条件交渉に入ります。この交渉では、経営者・役員・従業員の処遇や最終契約までのスケジュール調整も行うほか、契約成立までの期間における秘密事項などを定めるプロセスです。

最終契約

条件交渉によりお互いの認識に相違がなければ、最終契約のプロセスに移行します。以降の手続きでは取締役会・株主総会などでの議決が必要となるため、自社内でも各種準備を進めておかなければなりません。

最終契約書の締結

M&A市場では、最終契約は通称DA(Definitive Agreement)という呼称です。ただし、実際には、用いられるM&Aスキーム(手法)によって、契約書の名称は変わります。株式譲渡であれば株式譲渡契約書であり、事業譲渡であれば事業譲渡契約書といった具合です。

最終契約書には、譲渡内容・売買価額などが記載されます。最終契約を締結すると取引が成立して、譲渡金の受け取り・企業や事業の受け渡しなどのプロセスに移行するため、契約内容の変更はできません。

PMI(Post Merger Integration)の実施

譲渡金の受け取り・企業や事業の受け渡しなどが済むとM&A取引が完了し、PMIプロセスに移行します。PMI(Post Merger Integration)とは、日本語表記で「ポストマージャーインテグレーション」と呼ぶ、M&A後の経営統合プロセスです。

PMIは、経営戦略やビジョンの浸透・生産性向上・コスト削減・従業員のモチベーション維持や向上などを目的に実施されます。そのため、M&A実施後の企業に新たな組織体制を構築するために重要なプロセスです。

4. M&Aのスキーム(手法)

M&Aには、大まかに分けると合併・買収・分割という3つのスキーム(手法)があります。これらの大まかなスキームは、事業譲渡や株式譲渡のように、さらに細かく分類されているのです。

この章では、M&Aの理解をより深めるため、M&Aのスキームを解説します。

合併

図解:合併

合併は、英語では「Mergers」と表記し、日本語では「マージャーズ」と表記するスキーム(手法)です。合併は複数の会社が法的に1つに統合されるスキームであり、数あるM&Aスキームの中でも比較的、結びつきの強いスキームだといえます。

第三者の関係にある企業間でいきなり合併を実行するケースは少なく、株式譲渡により100%子会社化したうえで、頃合いを見て合併を実行するケースが一般的です。

合併には、上図のように吸収合併新設合併の2種類のスキームがあります。この2つのスキームは、以下で詳しく解説します。

吸収合併

吸収合併は、英語で「Absorption-type Merger」と表記し、日本語で「アブソープション(タイプ)・マージャー」と表記します。

吸収合併は、一方の法人格を残しながら、もう一方の法人格を消滅させるスキーム(手法)です。合併により消滅する会社の権利・義務の全ては、合併後に存続する会社へと引き継がれます。

新設合併

新設合併は、英語で「consolidation-type merger」と表記し、日本語では「コンソリデーション(タイプ)・マージャー」と表記します。新設合併は、全ての当事会社の法人格を消滅させつつ、新しく設立する会社に権利・義務を引き継がせるスキーム(手法)です。

買収

買収は、英語で「Acquisitions」と表記し、日本語で「アクウィジション」と表記します。買収とは、一方の企業がもう一方の企業の議決権を過半数以上取得するなどして、企業(事業)を買い取るスキームです。

買収は経営の効率化・新規事業への進出などの目的で実施されるスキーム(手法)であり、他企業の事業部門や営業権などのほか、ノウハウ・技術を持つ企業自体の買収が目指されることもあります。ここからは、代表的な買収のスキームを細かく紹介します。

株式譲渡

図解:株式譲渡

株式譲渡は、買収の中でも「株式取得」に分類される手法の一つです。
譲渡企業のオーナーが、保有株式を第三者に譲り渡すことで、経営権を移譲する手法です。

手続きとしては、売り手と買い手が株式譲渡契約書を取り交わし、株主名簿を書き換えるだけで済むシンプルな方法で、中小企業のM&Aでは最も多く活用されている手法です。

 

第三者割当増資

第三者割当増資は、企業が新株を発行して、既存の株主以外の第三者にその株式を割り当てる手法です。

資金調達方法としても広く利用されている手法で、結果として既存株主の持株比率は下がることになります。

M&Aにおいては、第三者割当増資によって第三者が発行済株式の3分の2以上を取得する目的で実施されることが多く、実質的にこの第三者が経営権を得ることになります。

株式交換

株式交換は、ある会社を100%子会社化するために用いられる手法で、買い手企業が売り手企業の株式を100%取得する代わりに、買い手企業から売り手企業のオーナーに対価が支払われます

この対価には買い手企業の株式が用いられることが一般的ですが、他に現金を交付するなどの手法もあります。

買い手から見れば、自社の株式を譲渡対価として用いる場合には買収資金を用意しなくても良いというメリットがあります。

株式交付

株式交付は2021年3月に施行された会社法の改正によって新しく創設された制度です。

株式交換とよく似た手法で、売り手企業の株式を取得する代わりに、買い手が自社の株式を売り手企業のオーナーに渡すという手法です。

株式交換とは異なり、子会社化を目指す限り、100%子会社化を目的としない場合でも適用が可能です。なお、株式交付は外国会社の買収には使えません。

株式公開買付(TOB)

株式公開買付(TOB)は、英語で「Take Over Bid」と表記し、日本語で「テイク オーバー ビット」と表記します。

株式公開買付(TOB)は、買収先企業の株式取得を公告したうえで、不特定多数の株主から金融商品取引所を通さず直接的に株式を取得するスキーム(手法)です。

株式公開買付(TOB)では、一般的に、金融商品取引所における取引価額よりも上乗せされた価額により買付が実施されます。

経営陣買収(MBO)

図解:MBO

経営陣買収は、英語で「MBO:Management Buyout」と表記し、日本語で「マネジメントバイアウト」と表記します。経営陣買収(MBO)は、経営陣が自社株式を買収するM&Aスキーム(手法)です。

具体的には、経営陣が自己資産、またはそれが足りない場合には銀行や投資ファンドから資金調達を行ったうえで、自社株式を取得します。

短期志向の株主・投資家などの意見に左右されることなく、中長期的な経営戦略の実施および意志決定の迅速化などが図られるため、経営体制の見直し・上場企業に課せられる情報公開の厳格化などへの対応策として注目されるスキームです。

なお、経営陣ではなく従業員が自社株式を買収するケースもあり、その場合はエンプロイー・バイアウト(employee buyout)と呼ばれます。

事業譲渡

図解:事業譲渡

事業譲渡は、企業が保有する事業の一部または全てを売却するスキーム(手法)です。主として、不採算事業の整理を目的とする企業再編などにおいて採用されています。売り手企業からすると、交渉次第では譲渡する事業に関する債務も引き渡せる点がメリットです。

その一方で、買い手企業からすると、価値の高い事業を手間・時間を削減しつつ獲得できる点にメリットがあり、最近では中小企業を中心に盛んに実施されています。

分割

図解:分割

分割は、会社の事業に関する権利義務の全部または一部を他企業に承継させる組織再編行為です。会社分割は、上図のように新設分割と吸収分割の2種類に分けられます。

新設分割

新設分割は、会社分割により新しい会社を設立したうえで、新設会社に既存会社の特定の事業や資産を承継させるスキーム(手法)です。

M&Aで会社ごと譲渡するのではなく、会社の中の特定の事業のみを第三者に譲渡する場合に用いられることが多いです。
また、M&Aに限らず、グループの中で組織再編を行う場合にも用いられることがあります。
 

吸収分割

吸収分割とは、ある会社の特定の事業や資産を切り出して、既存の他の会社に承継させる手法です。

新設分割が会社を新設する手法であるのに対して、吸収分割は既存の会社に事業を移すという違いがあります。

事業譲渡とよく似た手法ですが、事業譲渡の場合は債権者や従業員、取引先の個別の同意が必要であるのに対して、吸収分割の場合はそれを必要とせず、承継が可能です。
そのため吸収分割の場合はコストがかからず、M&Aで用いられることも多いです。

5. M&Aにかかる税金・手数料・経費

M&Aにより事業・会社を譲渡すると売却対価を受け取るため、当然、課税対象となります。また、M&A仲介会社やアドバイザーに依頼した場合には、手数料や経費も発生するため注意が必要です。

M&Aにかかる税金はスキーム(手法)によって異なるほか、手数料・経費は依頼するM&A仲介会社・アドバイザーによって異なります。この章では、M&Aにかかる税金・手数料・経費をまとめました。

M&Aにかかる税金

M&Aにかかる税金については、大まかに株式譲渡か事業譲渡によって課税方法が異なります。株式譲渡の場合には、売り手側の株主が株式を売却して代金を受け取るため、課税を受けるのは売却代金を受け取った株主本人です。

株式譲渡における課税対象は、売却によって獲得した株式譲渡益となります。株式譲渡益に対して所得税が15.315%・住民税が5%かかるため、合計20.315%(復興特別所得税0.315%分は2037(令和19)年までの時限措置)の課税を受ける仕組みです。

その一方で、事業譲渡では、売り手側の企業が、事業そのものや事業に関連する資産を売却して対価を受け取るため、この利益に対して法人税が課税されます。つまり、事業譲渡の場合には、株主が譲渡対価を受け取るわけではないので、株主本人への課税はありません。

法人税の実効税率は約30~33%ですが、他の損益と通算して課税されるため、仮に大きな損金がある場合、課税を受けない可能性もあります。なお、事業譲渡は資産の譲渡に該当するため消費税が発生しますが、消費税の非課税品目(土地、有価証券、債権など)に当たる資産は課税されません。

M&Aにかかる手数料・経費

M&A仲介会社やアドバイザーに依頼した場合には、仲介手数料などがかかります。M&A仲介会社やアドバイザーに依頼した場合の主な手数料・経費は、以下のとおりです。

  • 事前相談料:依頼先によっては発生するが無料のケースもある
  • 着手金:50万円200万円が一般的相場だが無料のケースもある
  • 最低手数料:200万円3,000万円程度(規模によって変動)
  • リテイナーフィー:毎月数十万円程度だが、無料の業者も多い
  • デューデリジェンス(DD)費用:50万円300万円が一般的相場(買い手側のみに発生)
  • 成功報酬:取引金額や移動総資産額などにレーマン方式という計算式を当てはめた金額

上記の中でも成功報酬に関しては、手数料の設定がM&A仲介会社やアドバイザーによって大きく異なるため、あらかじめ十分に確認しておきましょう。

6. M&Aの成功事例5選

M&Aは、シナジー効果が十分に発揮されて、初めて成功したと判断できる取引です。これまでに、大手企業から中小企業まで、M&Aによって成功を収めた企業は数多く存在します。

その一方で、M&A後にトラブルが発生するケースも多いほか、「PMIが円滑に進まなかった」「交渉を長引かせて破談させてしまった」「デューデリジェンスを専門家に依頼しなかった」など、M&Aに失敗してしまう事例も少なくありません。

そこで、実際のM&A成功事例5選を紹介します。M&Aを成功させた企業はどのような手法を用いていたのか、成功ポイントとともに把握しておきましょう。

スタートトゥデイがIQON(アイコン)を買収

2017(平成29)年10月、大手ECサイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイ(現ZOZO)は、メディアサービス「IQON」を運営するVASILYの株式を取得して完全子会社化しました。

本件M&Aにより、スタートトゥデイはVASILYのテクノロジーとデザイン力を活用しており、ファッションメディアの運営やサービスにAI(人工知能)を駆使しながらEC・アパレル分野において成長を見せています。

なお、2018(平成20)年10月1日にスタートトゥデイはZOZOに社名変更しました。

日本電産がエマソン・エレクトリックスの事業を買収

日本電産は、早期段階から戦略的にM&Aを活用しており、買収した赤字企業を全て黒字にした経歴を持っています。

代表的な成功事例は、2017年2月に実施した、アメリカの電気・電子機器メーカーのエマソン・エレクトリックが保有するモーター・ドライブ事業・発電機事業の買収です。

総額1,200億円と日本電産における過去最高のM&A取引でしたが、既存のPC用小型モーターを家電・商業産業用に事業転換する戦略を立てて業績を伸ばしています。

上記の事例後も、2017年10月にはシンガポールのSVプローブ社、2018年8月にはドイツのMSグレスナー社などを買収しました。

また、2019(令和元)年10月には国内のオムロンオートモーティブエレクトロニクスを買収するなど、企業成長の原動力として積極的なM&Aの活用を続けています。

DellがEMCを買収

2016(平成28)年9月、アメリカのパソコンメーカーDellは、ストレージ機器開発を手掛けるEMCを買収しました。本件買収によって、世界最大のプライベートIT企業グループ「Dell Technologies」が誕生しています。

M&A後の年間売上は約740億米ドルにもおよんでおり、当時の会長マイケル・デルは「PCからサーバー、ストレージから仮想化、そしてセキュリティでも世界No.1の企業が1つのグループに属した」と語りました。

2020(令和2)年1月現在、Dellは年間売上787億米ドルにまで成長しています。

チャーターコミュニケーションズがタイムワーナーテレビを買収

2015(平成27)年5月、当時、アメリカのケーブルテレビ4位だったチャーターコミュニケーションズは、2位に位置していたタイムワーナーテレビを、約787億円(9兆7,000億円)で買収する発表をしました。

M&A後のチャーターコミュニケーションズは、2018年11月時点で顧客数を2,500万人にまで伸ばしており、首位であるコムキャストまで急速に近づいています。本件M&A事例は、規模を拡大しつつ経費を圧縮して、価格競争力を強化する目的のもと実施されたものです。

ライザップが夢展望を買収

2015年3月、キャッチーなCMで話題を集めている「ライザップグループ」は、レディースファッション通販の夢展望の第三者割当増資を引き受けて子会社化し、アパレル業界に進出しました。

夢展望は上場後の1年半で債務超過の危機に陥っていましたが、M&A後に業績を回復させ、2017年3月には2,700万円の営業黒字を収めています。

ライザップグループは近年、アパレル業界への進出を加速させており、ジーンズメイトおよび素材を作る堀田丸正なども買収して事業を拡大させました。

また、2017年には印刷物を手掛けるエス・ワイ・ワイや、パッキングを製造販売している五輪パッキングを買収したほか、2018年には子会社のイデアインターナショナルを通じてバッグ製造会社のシカタを連結子会社化しています。

7. M&Aの市場動向

日本においてM&Aが注目を浴びるきっかけとなった事例として、1989(平成元)年の「ソニーによるコロンビアピクチャー買収」や「三菱地所によるロックフェラーセンター買収」などが挙げられます。これらの事例を機に、日本でもM&Aが注目されるようになりました。

上記の事例以降、1997(平成9)年の独占禁止法改正や1999(平成11)年の株式交換・株式移転制度導入などM&A関連の法改正が進んだことで、M&Aの実施件数は年々、増加することになります。

そして、2006(平成18)年の会社法施行や2007(平成19)年の三角合併解禁などの後押しもあって、日本におけるM&A実施件数がピークを迎えたのです。

ところが、2008(平成20)年のリーマン・ショック以降、日本のM&A市場は一時的に落ち込みました。2011(平成23)年の東日本大震災の影響もあり、M&A件数は会社法施行前の水準まで減少しましたが、2011年以降は増加傾向に転じています。

M&A件数が増加する背景には、譲渡側・譲受側企業の双方でM&Aを実施する要因がある点だけでなく、日本の景気が堅調に推移している点、堅実に経営してきた企業の財務状態が安定してきた点なども関係しているのです。

また、日本全国で深刻な影響を与えている少子高齢化問題は、全ての産業で将来的な不安を生み出し続けています。深刻な状況を打破するためにも、業績拡大を目指すべくM&Aを行う買い手企業が増加中です。

景気が少しずつ回復基調を見せる中で深刻な人手不足も解決すべく、M&Aへの注目度は年々上がっています。M&Aによる売却を希望する背景には、経営者の高齢化・事業承継問題などが深く関係しています。

中堅・中小企業経営者の平均年齢は年々高くなっているにもかかわらず、後継者不在の企業が増えており、M&Aを活用することによって、後継者不在問題を解決しようとする動きもだいぶ高まってきました。

なお、2020年3月に発生した新型コロナウィルス感染拡大問題以降のM&A市場動向は、以下の記事で詳しく解説していますので、そちらをご覧ください。

【関連】新型コロナによりM&Aマーケットはどうなる?業界別に解説!

M&Aの歴史

最近ではビジネス市場で広く活用されていますが、M&Aがこれまでたどった歴史も紹介します。歴史を知ると現在および今後のM&A動向を理解しやすくなるため、合わせて把握しておきましょう。

M&Aは戦前期の日本においてブームだった

戦前期の日本ではM&Aが積極的に行われており、財閥拡大や業界再編と深く結びついていました。

1880(明治13)年頃から政府は財閥に官業を安く払い下げ、事業を譲渡された三井や三菱などの財閥がこれを拡大して、手厚い保護体制のもとで事業買収を推し進めたことで、さまざまな産業を傘下に置いていきます。

明治時代から昭和初期には戦争(特需)・国際貿易発展などの影響により日本産業への需要が高まり、財閥が巨大な力と富を得ていきました。

当時は、財閥による敵対的買収も含めて、M&Aが国内でブームとなっています。特に明治時代の後期以降は紡績事業の再編・合従連衡が唱えられたことで、基幹産業再生のためにM&Aが数多く実施されました。

M&Aによる業界再編が盛んに実施された

基幹作業である紡績業では、中国など新興国の出現により競争が激しくなったことで、再生目的を持つM&Aが実施されています。結果的に、日本全国で数百社以上存在した紡績会社は、6社程度まで集積されました。

当時は、製糖業でもM&Aが積極的に行われています。M&Aが盛んになる以前は27社あった製糖会社が、1920(大正9)年代前半には11社、1927(昭和2)年の金融恐慌時における業界再編後は9社程度まで絞られました。

その後は戦争に応じた業界再編によって、近代の製糖業界において四大製糖と呼ばれた「大日本・明治・台湾・塩水港」の4社に落ち着いています。

1920年代に入ると、競争が激化していた電力業界において、合従連衡が盛んに実施されました。M&Aが数多く実施されたことで、大手の5社にまとまったとされていますが、中でも鈴木商店はM&Aを積極的に活用して事業を拡大した企業の1社です。

一時的ではありますが、三菱や三井を圧倒する勢いを持っていたとされています。その後は金融恐慌によって破綻した鈴木商店の傘下企業が復活しており、現在におけるサッポロビール・J-オイルミルズ・双日・神戸製鉄所などは鈴木商店の流れをくむ会社です。

そのほか、日産コンツェルンも、日産自動車をメインに据えてM&Aを活用しました。日本産業の中核において、株式公開で資金調達を行いつつM&Aを進めています。子会社も積極的に株式公開を行っており、同様にM&Aを進めたのです。

1934(昭和9)年、日本製鐵は、八幡製鉄所を中心に三菱製鉄・釜石鉱山・輪西製鉄・九州製鋼・富士製鋼の計5社により鉄鋼メーカーとして合同設立されました。

日本製鐵の設立時には、現物出資が活用されています。その後は大阪製鉄の資産・東洋製鉄の現物出資や資産などをM&Aで買収して事業拡大を推し進めました。

M&Aが急増している背景

ここでは、M&Aが急増している背景を売り手と買い手ごとに紹介します。

売却側

1つ目の要因として、経営者の高齢化が挙げられます。従来は親族への承継件数がほとんどであり、主として子供に会社を継がせる経営者が多くいました。

しかし現在では、自身に子供がいない経営者も多いでしょう。たとえ子供がいたとしても会社を継ぎたくないと考えるほか、経営者自身が子供に継がせたくないと考えるケースも増えています。こうした状況を受け、M&Aにより会社を譲渡する需要が高まっている状況です。

帝国データバンクの「全国企業「後継者不在率」動向調査(2020年)」によると、50歳代では約70%、60歳代では約半数、80歳代以上では約3分の1の経営者が後継者不在に悩んでいます。

社長年齢 後継者不在率
30歳未満 92.7%
30歳代 91.1%
40歳代 84.5%
50歳代 69.4%
60歳代 48.2%
70歳代 38.6%
80歳代以上 31.8%

帝国データバンク「全国企業「後継者不在率」動向調査(2020年)」

そのほか、M&Aに対するイメージの向上も実施件数が増加した要因です。従来、M&Aというと「会社が乗っ取られる・会社を売り払う」という悪いイメージが先行していました。

現在におけるM&Aは、1つの経営手段であると広く認識されており、積極的に用いる企業が増えています。

M&Aによる売却で大手資本企業の傘下に入ると、自社株式の現金化・代表連帯保証の解除・従業員の雇用維持などが期待できるほか、事業拡大も狙えるため、M&Aにはポジティブなイメージが浸透しつつある状況です。

買収側

買収側がM&Aを積極的に用いる要因の1つに、法改正による後押しがあります。これまで法律・税務上で曖昧に判断されていた部分が法整備されたことで、M&Aを実施しやすい環境が整いました。

また、IT技術の発達により、スピーディーに環境が変化するようになったことも要因の1つです。こうした状況下で、ゼロから新規事業を立ち上げるのではなく、M&Aにより他社のノウハウ・技術などの買収を狙う経営者が増えています。

さらに上場企業・未上場企業を問わず実質、無借金企業が増加しているため、金利がマイナス化している状況です。金融機関ではM&Aに必要な資金の貸出を積極的に行っているため、M&A実施に対するハードルが低くなったことも要因の1つといえます。

これからのM&A市場

これまでM&Aは身売り・敵対的買収のリスクが強いといったイメージを抱かれていましたが、時代の流れにより徐々に見方が変わってきています。M&Aに対する経営者の見方を変えた要因の1つとして挙げられるのが、後継者不在問題の深刻化です。

帝国データバンク「全国企業「後継者不在率」動向調査(2020年)」によると、調査対象となった中小企業の65.1%が「後継者不在」に陥っていると回答しました。また、社長の平均年齢および社長の引退平均年齢に当たる60代の約5割は、後継者候補が未定の状態です。

最近では後継者不在を解消して事業承継を行うべく、中小企業の経営者を中心にM&Aを活用する動きが目立っています。ここからは、近い将来における日本のM&A市場について、以下のトピックに分けてまとめました。
 

  1. 生産年齢人口減少によるM&A増加
  2. 業界寡占化によるM&A増加
  3. ベンチャー企業によるM&A増加

それぞれのトピックを順番に見ていきます。

①生産年齢人口減少によるM&A増加

生産人口減少のグラフ

(出典)2015年までは総務省「国勢調査」(年齢不詳人口を除く)、 2020年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」(出生中位・死亡中位推計)

現在のM&A市場の規模が増大傾向にありますが、この背景には日本の少子高齢化がもたらした経営者の高齢化と後継者不足の問題が深く関係しています。

上記データのとおり、日本では生産年齢人口(15~64歳)が年々減少しています。これは、日本全体で深刻化している問題です。生産年齢人口の減少は、さまざまな業界で人手不足が生じる最大の要因と捉えられています。

特に中小企業における人材不足は経営難に直結する問題となりやすく、今後も引き続き第三者への事業承継件数が増加していく見込みです。

②業界寡占化によるM&A増加

業界寡占化によるM&A増加も予想されています。多くの企業では効率的に成長を遂げるべく、競合企業との関係性を見直している状況です。いかなる業界においても企業数が多い場合には、再編が円滑に進まず苦戦します。

例えば、メガバンク・ビール製造・新聞社・コンビニ業界などは約4社の大手企業に集約されており、競合との関係性を安定させている状況です。いかなる業界でもM&Aを用いた再編・寡占化は活用できる手段であり、企業の成長だけではなく経済の安定化も図れます。

実際に、調剤薬局業界では大手企業がシェア拡大を図るべくM&Aを積極的に活用しており、M&A実施件数が大きく伸びました。もともと調剤薬局業界ではトップ企業であっても市場シェア率が低く、シェア拡大を狙える余地が存分にあったのです。

上記の流れは調剤薬局業界だけでなく、寡占化が進む業界に広がっていくものと見られます。

③ベンチャー企業によるM&A増加

リーマン・ショック以降、低迷していた新規株式公開(IPO:Initial Public Offering)の動向も徐々に回復しつつある一方で、日本のベンチャー企業がEXITの手段としてM&Aを活用するケースが増加中です。

もともと米国ではベンチャー投資先としてM&Aが用いられてきましたが、日本でもベンチャー企業育成のためにEXIT方法のオプションとしてM&Aは重要視されています。

かつて国内スタートアップのEXITはIPOが中心でしたが、最近では差が急激に縮まっている状況です。2016年におけるIPO件数はM&A件数の約4倍でしたが、2018年において約1.4倍にまで差を縮めており、M&Aの勢いが年々盛んになっていることがわかります。

また、2019年において日本企業が関わったM&Aの件数は4,088件(前年比6.2%増)であり、3年連続で更新を続けている状況です。そして全体の約3割超は、ベンチャー企業を対象とするM&Aでした。

一般的な企業価値算定額をはるかに上回るM&A事例もあり、今後は国内企業においてもEXITの手段としてM&Aが広く活用されていくと見られます。

「中小M&Aガイドライン」を策定しました (METI/経済産業省)

M&A支援機関の登録制度の創設

上記のようなM&A増加背景がある中、中小企業が安心してM&Aを進められるようにするため、M&A支援機関の登録制度が創設されることになりました。 2021年8月2日、経済産業省が登録制度の概要を発表しましたので、その概要を説明します。

制度の概要

一定の条件を満たしたM&A支援機関のみが、登録できる仕組みになります。 事業承継・引き継ぎ補助金(専門家活用型)において、登録しているM&A支援機関を利用している場合のみ、補助金の対象となります。

また登録している支援機関との間でトラブルが発生した場合、中小企業が情報提供をする窓口が創設されます。

登録条件

M&Aを支援する団体はたくさんありますが、その中でもファイナンシャルアドバイザーとM&A仲介業者のみが今回の制度の対象となります。

また、ファイナンシャルアドバイザー業務やM&A仲介業務をやっている金融機関なども対象です。 「中小M&Aガイドラインの遵守を宣言すること」が登録要件となっているため、登録されているM&A仲介会社は中小M&Aガイドラインを守っているということになります。

中小M&Aガイドラインには、仲介会社が情報の非対称性を利用して不当な取引を進めたり、M&A仲介会社を利用する人が不利になったりしないような趣旨の内容が定められているため、それを遵守している登録企業は安心できると言えます。

M&A支援機関に係る登録制度の創設について (METI/経済産業省)

8. 日本の国内企業におけるM&Aの課題点

かつての国内におけるM&Aを振り返ると、敵対的買収やそれに伴う議決権の獲得合戦などが大きく話題になったこともあり、M&A自体にそれほど良いイメージがありませんでした。

しかし、近年ではM&A仲介会社やアドバイザーが増加したことを受けて、M&Aが持つ本来の定義が広く認知されるようになり「M&Aは経営戦略の1つ」というイメージが確立されつつあります。

ただし、国内のM&A市場は急成長していますが、国内企業におけるM&Aでは課題点も浮き彫りになってきている状況です。日本の国内企業におけるM&Aの課題点としては、以下の3つが挙げられます。
 

  1. M&Aに長けた人材が不足している
  2. 日本独自の人事制度
  3. 企業文化への対応

それぞれの課題点を順番に解説します。

①M&Aに長けた人材が不足している

国内企業の動向を見ると、ITベンチャーや新たな技術・サービスの創出を目指す企業が増加傾向にあり、大手企業によるスタートアップ企業への投資が盛んに行われています。

しかし、買い手である企業においては、投資した企業が開発した技術・ノウハウを自社の既存事業と組み合わせてシナジー効果の獲得可能性を見いだしたうえで、M&A実施を決断できる人材の不足が指摘されている状況です。

上記の要因としては、日本の大手企業のマネジメント層は新卒一括採用で雇用されており、ジェネラリストとしてキャリアを積んだ人材が大半となったことで、M&Aに長ける人材が育ちにくい環境となっている点が挙げられます。

②日本独自の人事制度

終身雇用制度の定義が事実上崩壊しかけている日本の大手企業では、年功序列を前提とした職能給が見直されたことで、成果主義の職能給が浸透しつつあります。

競争優位性を生み出すために重要となるイノベーションには、包括的な人事制度・労働改革が必要です。具体的には、個人の能力を最大限に発揮できるような制度を敷く必要があります。

上記のような改変を実施できない企業は、たとえM&Aで将来性の高い技術やノウハウを獲得できたとしても、人事制度が障害となり想像以上のシナジー効果が得られない可能性が高いでしょう。

③企業文化への対応

M&Aでは、企業が保有する経営財産・人材・技術やノウハウなども譲渡・承継の対象となります。統合後は異なる企業文化を有する従業員が同じ組織内で活動するため、さまざまな衝突・問題が発生する可能性が高いでしょう。

上記のようなトラブルは企業文化が生み出す価値観・信念などの違いによって起こりますが、それだけでなく従業員の意思決定やリーダーシップのあり方・チームワークや仕事に対する取り組み方なども影響します。

したがって、M&A実施前の人事デューデリジェンス(DD)やM&A後のPMIを通して、経営者を含む従業員全ての意識改革が求められるのです。

9. M&Aに関するQ&A

M&Aに関する代表的な疑問は、以下のとおりです。
 

  1. 少しでも高く売却する秘訣は?
  2. 赤字や債務超過の企業はM&Aできない?
  3. 金融機関・公的機関・士業事務所とM&A仲介会社の違いは?
  4. 完全成功報酬制のメリットは?
  5. 秘密保持契約書を締結しないとどんな問題が発生するの?
  6. 見せたくない書類は提供しなくてもよいの?
  7. 従業員や取引先に対するM&Aの公表はいつ行うの?
  8. 仲介会社に依頼せず自分でM&Aを進めてもいいの?

①少しでも高く売却する秘訣は?

買い手とのM&A交渉において、「買収する価値のある会社」であることをアピールしていくことが大切です。

しかしながら、M&Aを開始すると、経営者にさまざまなプロセスの実施が求められるため、日常業務がおろそかになってしまいやすいでしょう。これにより自社の業績が低下してしまうと、買い手からの印象を落としかねません。

好条件での取引を目指す場合、M&Aによる売却が決定したら業績の伸長を最優先に考えましょう。そのためにも、M&Aで必要なプロセスは、仲介会社などの専門家のサポートを得ながらスムーズに進めていくことをおすすめします。

②赤字や債務超過の企業はM&Aできない?

結論から述べると、赤字・債務超過の企業であってもM&Aできる可能性は十分にあります。たとえ、それまでの経営状態が悪くても、適切に再生処理をこなしていけば、M&Aによる売却を目指せるのです。

また、そもそも赤字に関する誤解も多く見られます。具体例を挙げるならば、赤字が一時的な投資により生じている企業です。こうした企業では、投資に成功して利益が生じれば、赤字から脱却する可能性が大いにあります。

さらに、赤字会社の中に優秀な人材が眠っているケースも多いでしょう。企業が赤字だとしても、その人材が巨額の利益を生み出す可能性は十分にあることから、M&Aにより買収を希望する企業は少なくありません。

M&Aによる売却を目指すうえで大切なポイントは、赤字・債務超過の程度や理由を明らかにしておくことだといえます。会社の状況を十分に整理しておくと、「自社であれば経営状態の改善や立て直しができる」と考える買い手が見つかる可能性が高いでしょう。

③金融機関・公的機関・士業事務所とM&A仲介会社の違いは?

M&Aに関する相談先には、仲介会社・アドバイザー以外にも以下のようなものがあります。
 

  • 金融機関
  • 公的機関(事業引継ぎ支援センター)
  • 士業事務所(税理士・会計士・弁護士事務所)

ただし、上記に挙げた機関は、かならずしもM&Aに関する知識・実績・経験が豊富でないケースも多く、適切なマッチングを図れなかったり、プロセスにかかる時間が長引いたりするおそれがあります。

M&Aの成否に直接影響する場合もあるため、成功確率を高めたい場合にはM&Aで実績のある士業事務所か、M&A仲介会社・アドバイザーに相談・依頼しましょう。なお、依頼先を決める際には、複数機関に相談したうえで、M&Aの知識・実績・経験・人柄などを比べることをおすすめします。

④完全成功報酬制のメリットは?

完全成功報酬制を採用する仲介会社に依頼すると、M&Aが成立しない限り手数料の支払いは一切求められません。そのため、実際にM&Aが成立するのかどうか不安に感じている場合であっても、費用面でのリスクを最小限に抑えたうえでM&Aの実施を図れるのです。

また、着手金制のM&A仲介会社では、着手金を取ることだけを目的として、クライアントに対して通常よりも高額な企業価値算定を提示する可能性があります。その結果、買い手が現れず、譲渡自体が困難になるケースも多いでしょう。

その一方で、売り手・買い手ともに着手金を無料とするM&A仲介会社に依頼すれば、着手金の存在により検討を断られることがなく、多数の買い手候補に同時並行で提案・交渉を行えます。

なお、手数料はM&A成立時に請求されるため、M&Aで獲得した譲渡益を手数料の支払いに充てることも可能です。

⑤秘密保持契約書を締結しないとどんな問題が発生するの?

M&A仲介会社・アドバイザーへの相談時に秘密保持契約書を締結しておかないと、自社が提供した資料などから機密情報が漏えいしてしまいかねません。

M&Aを検討している情報が広まれば、「経営状態が悪いのでは?」という憶測を呼び、自社の従業員・取引先などを動揺させてしまうおそれもあります。その結果、従業員が離職してしまったり、取引先から取引を打ち切られたりする可能性が考えられるのです。

上場企業の場合、外部に情報が漏れてしまえば、自社の株価に悪影響をおよぼす場合もあります。こうしたトラブルを発生させないためにも、秘密保持契約を締結しておきましょう。

⑥見せたくない書類は提供しなくてもよいの?

M&Aで提出する書類の中には自社にとって不利な情報が含まれるケースもあるかと思いますが、こうした情報も含めて隠さずに提供しましょう。

なぜなら、虚偽の申告をしたままM&Aの手続きを進めてしまうと、相手企業との間でトラブルが発生する可能性が高いためです。

基本合意後に虚偽の申告が発覚すれば、譲渡価額が著しく低下してしまったり、M&A取引そのものが破談となってしまったりするおそれがあります。必要となる情報を全て開示したうえで、自社にとって最適な相手企業を探していきましょう。

⑦従業員や取引先に対するM&Aの公表はいつ行うの?

従業員・取引先に対してM&Aを公表するタイミングは、M&Aの成立後が良いでしょう。ここでは、誠意を持ってM&A成立を報告することが大切です。

従業員・取引先を誤解させたりネガティブな印象を与えたりしないよう、あらかじめアドバイザーに相談したうえで説明方法を検討しましょう。

M&Aの公表後は、速やかに統合プロセスに移行します。従業員の引き継ぎが円滑に進むよう、経営者の方も自社に一定期間、残りながら統合プロセスを完了させてください。

⑧仲介会社に依頼せず自分でM&Aを進めてもいいの?

仲介会社が絶対に必要なわけではないので、アドバイザーを使わずに自分でM&Aを進めることも可能です。

仲介会社を利用するメリットとして「買い手候補に幅広くアプローチできること」と「交渉がスムーズに進められること」があります。

自分ひとりで進めると、まず多くの買い手候補にアプローチすることが難しくなります。
知り合いの社長などに声をかけたり、
マッチングプラットフォームを利用したりする方法等はありますが、それでも仲介会社が持つネットワークを利用した方が、圧倒的にたくさんの候補先にアプローチすることが見込めます。

また、仲介会社などの専門家を利用しないと、交渉をスムーズに進めるのが困難になる場合もあります。ひとりで進めると、どのタイミングでどういう資料の準備が必要かを事前に把握することができず、時間がかかってしまいます。
また不利な条件で契約をしてしまう可能性などもあります。

自分ひとりでM&Aを進めることも可能ですが、仲介会社などの専門家に依頼をした方が不要なリスクを低減することができます。

10. まとめ

M&Aは、近年増加している後継者問題や市場縮小をはじめ、さまざまな経営課題の解決方法として活用されています。M&Aで享受できるメリットは予想を上回ることがある一方で、失敗すると企業にとって大きな損失となりかねません。

M&Aを成功させるには、細かなプロセスの定義や意味を踏まえたうえで、自社に合った戦略を策定すると良いでしょう。しかし、M&Aの検討・実施には専門的な知識や見解が必要となる場合が多く、経営陣のみで進めていくのは決して簡単ではありません。

したがって、自社に適したM&A仲介会社などの専門家を起用することがM&Aを成功させる大きなポイントとなります。

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